陣借り

陣借り（じんがり）について

陣借りとは、合戦において正規軍に所属しない勢力が、自席での出費を賄いながら戦いに参加することを指します。この形態は、報酬が保証されないため、戦闘に貢献しても必ずしも報酬を得られるわけではありません。また、兵糧や武器の供給が確約されていないため、自らのリスクを抱えて戦うことになります。すなわち、これは一種の戦力の「押し売り」と言えるでしょう。

日本における陣借りの歴史

日本では、特に中世から戦国時代にかけて、戦闘後に勝利した側に首を持参することで、事後的に傭兵として認められることがありました。このため、戦後処理の中での評価が重要視されていました。天下統一を果たした豊臣秀吉の時期には、「奉公」制度が全国に広がり、従来タイプの雇用が難しくなりましたが、それでも多くの大名は依然として有能な人材を必要としており、名を変えることで雇用する例も見られました。

戦国時代には、仕官先を追い出された武将が再起を志向する中で陣借りを選択することが多く、当時の武士たちは契約を結ぶ統領（主君）との関係に基づき、より良い条件の主君に乗り換えることが一般的でした。この状況では、無職の浪人でも、有力な武将の群れに配属されることで仕官の道を拓く機会が得られることがあります。しかし、陣借りには資金的負担が伴うため、成功が保証されるわけではありません。

歴史には、前田利家や仙石秀久のように、陣借りを通じて名を挙げた例が存在します。彼らは成功を収め、大名にまで上り詰めることができましたが、その代償として高リスクを伴ったことは言うまでもありません。

ヨーロッパにおける陣借り

ヨーロッパでは、中世において王や貴族は戦争に際して、主に騎士とその領民からなる封建軍を編成していましたが、それに加えて傭兵団（フリーカンパニー）と契約することも一般的でした。この傭兵団や、正式に叙勲されていない騎士（黒騎士）が、戦争に必要な戦力を補充する役割を果たしていました。

戦争が発生すると、封建軍や傭兵団に参加したい兵士（フリーランス）は、各々の力量をアピールし賃金を得るチャンスを探りました。彼らがそのまま雇用されることは少なかったものの、戦争がない期間には、強盗騎士として生計を立てている者も多く存在しました。

まとめ

陣借りは、戦における戦力の調達方法の一つとして、歴史的に重要な役割を果たしてきました。日本やヨーロッパにおいて、様々な背景と条件のもとで行われ、しばしば高いリスクを伴うものでしたが、同時に成功を収めるチャンスも秘めていました。

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