陣風 (航空機)

陣風 (Jinpū)

陣風（じんぷう）は、太平洋戦争中に日本の海軍によって計画された試作戦闘機であり、設計は川西航空機が行いました。この機体は、特に陸上基地で使用する高々度進攻戦闘機としての役割を想定していました。

機体の概要

当初、試作機の名称は「十七試陸上戦闘機J3K1」とされ、搭載する予定だったエンジンは三菱MK9B（A20改一）でした。しかし、このエンジンの開発が遅れたため、計画は中止されることになりました。

その後、エンジンを中島NK9Aに変更し、さらにその改良版である中島NK9A-Oを採用した「試製陣風」として再度の開発が始まりました。陣風は、高度10,000メートルでの最大速度370ノット（約685.2km/h）を目標としました。1944年6月にはデザインがほぼ完成し、第一次木型審査を通過したものの、同年度7月に紫電改の実機が完成したため、試製陣風は試作機種整理の対象となり、その後の開発が行われませんでした。

計画と変更

終戦に近づく1945年5月には、官民合同の会議において陣風の再検討案が登る場面もありましたが、最終的には高高度戦闘機の開発は見送られ、烈風改の改良案が新たに提案される結果となりました。

諸元概要

試製陣風の基本的な仕様は以下の通りです：

• - 記号: J6K1
• - 機種用途: 甲戦闘機
• - 設計会社: 川西航空機
• - 機体形式: 低翼単葉
• - 乗員数: 1名
• - 全長: 10.118 m
• - 全幅: 12.500 m
• - 全高: 4.130 m
• - 脚間隔: 3.980 m
• - 主翼面積: 26.0 m²
• - 全備重量: 4886 kg
• - 動力: 誉42型(NK9AO) 空冷複星18気筒エンジン
• - 離昇出力: 2200 HP
• - プロペラ直径: 3.5 m（定速4翅）
• - 最大速度: 685 km/h
• - 実用上昇限度: 13600 m
• - 上昇時間: 10000 mまで13分20秒
• - 航続距離: 2055 km
• - 武装: 機関銃で、さまざまな搭載バリエーションがありました。

登場作品

陣風はいくつかのメディア作品に登場しています。特に『艦隊これくしょん -艦これ-』では「試製陣風」という名前で表現され、航空母艦の艦娘が装備可能です。また、オンラインゲーム『WarThunder』でも2019年のイベントで入手できた機体として知られています。

参考文献

• - 『日本軍用機三面図集・海軍機編』
• - 碇義朗の解説書や、月刊『丸』の特集など、陣風に関する詳しい情報が掲載されています。

このように、陣風は多くの技術的なチャレンジと変更を経た結果、最終的には戦闘機の歴史の中で重要な位置を占めることはありませんでしたが、その設計過程や開発の背景は多くの航空ファンや歴史研究者にとって興味深い話題となっています。

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