除夜の鐘(じょやのかね)
除夜の鐘は、日本の
仏教における年末の重要な行事であり、大晦日の深夜に
寺院が鐘を撞く文化的な慣習です。多くの
寺院では、108回鐘を撞くことが一般的です。この行事には、様々な歴史や意味が込められています。
起源
除夜の鐘の起源は、中国の宋代の禅宗
寺院の慣習とされ、日本においても鎌倉時代からこの習慣が浸透しました。特に室町時代には、大晦日から元旦にかけての行事として、広く定着しました。禅寺では、鬼門からの邪気を払う目的で鳴らされていたと考えられています。
108の意味
鐘を108回撞く理由にはいくつかの説がありますが、特に有名なものは人間の
煩悩と関連しています。
煩悩には、目、耳、鼻、舌、身、意の六根が絡んでおり、それぞれの根に好、悪、平の3類と浄、染の2類が結びつき、最終的に108という数に到達するとされています。この他にも、四苦八苦や1年間の数を基にした解釈も存在しますが、正確な由来は未だに不明です。
宗旨による違い
元々は禅宗
寺院の行事でしたが、
昭和初期の
ラジオ放送により、この習慣は全国に広まりました。現在、浄土真宗の
寺院でも除夜の鐘を撞くことがありますが、一部の
寺院ではこの慣習を行っていないところもあります。特に真宗大谷派の東本願寺では、
煩悩を払い除くことが教義に反するとして鐘を撞きません。
撞木の作法
鐘を撞く際には、まず鐘に向かって合掌するのが作法です。撞く時刻については、年を跨いで鐘を撞く
寺院もあれば、元旦午前零時から始める
寺院も存在します。例えば、年を跨いで撞く
寺院では、108回の鐘のうち107回を旧年中に撞くことが多いです。
歴史的背景
除夜の鐘の風習は
明治時代には下火となりましたが、
1927年に国立放送局の
ラジオ中継によって再び注目を集め、文化として定着しました。その後も、戦時中には金属回収令により鐘を撞けないことがあり、大太鼓で代用されることもありました。
除夜の鐘の変遷
近年では、高齢化や地域住民からの騒音に対する苦情が理由で、除夜の鐘を昼間に撞いたり、中止したりする
寺院も見受けられます。このような変化に対し、伝統を守る声と、地域の声を考慮すべきとの意見が存在します。例えば、
愛知県の普門寺では、安全面を考慮し、大晦日正午からの撞き始めを採用しました。
放送と現代文化
NHKの「ゆく年くる年」では、全国各地での除夜の鐘の様子が中継され、多くの人々に親しまれています。このように、除夜の鐘は日本の
年末年始の風物詩として、世代を超えて受け継がれています。