陰維脈

陰維脈（いんいみゃく）

陰維脈は、奇経八脈の一つであり、全身の陰経を連絡し、その機能を調節する役割を持つ経絡です。「維」はつなぐ、保持するという意味があり、陰経を連結し、その働きを維持する重要な役割を示唆しています。

経路

陰維脈は、足の少陰腎経の築賓（ちくひん）穴から始まります。築賓穴は、内くるぶしの上5寸、ふくらはぎの筋肉の中に位置します。以下のような経路をたどります。

1. 足部：築賓穴から起始し、下腿内側を上行します。
2. 股部：股の内側を通り、鼠径部へ向かいます。
3. 腹部：
府舎（ふしゃ）穴：足の太陰脾経、足の厥陰肝経、足の少陰腎経、足の陽明胃経と交会します。
大横（だいおう）穴、腹哀（ふくあい）穴：足の太陰脾経と交会します。
4. 胸部・側胸部：肋骨に沿って側胸部を上行します。
期門（きもん）穴：足の厥陰肝経と交会します。
5. 頸部：胸郭を貫き、喉へと向かいます。
天突（てんとつ）穴、廉泉（れんせん）穴：任脈と交会します。
6. 頭部：頭部へと上行し、前頭部で終わります。


経穴:
築賓→衝門→府舎→大横→腹哀→期門→天突→廉泉

宗穴と郄穴

宗穴：内関（ないかん）
郄穴：築賓（ちくひん）

陰維脈の機能

陰維脈は、全身の陰経を連絡し、その機能を調節する役割を持ちます。具体的には、以下の様な機能が挙げられます。

陰経の強化：陰経の気血を補い、機能を高めます。
体内の陰陽バランスの調整：体内の陰陽のバランスを調整し、心身の調和を保ちます。
内臓機能の調整：特に肝臓、腎臓、脾臓といった内臓の機能を調整します。

臨床応用

陰維脈の異常は、以下のような症状として現れることがあります。

胸脇苦満：胸や脇が張って苦しい感じ
心痛：心臓の痛み
胃痛：胃の痛み
腹痛：腹部の痛み

これらの症状に対して、陰維脈に関連する経穴（築賓、府舎、大横など）や宗穴である内関などを鍼灸治療することで、症状の改善が期待できます。

陰維脈は、体内の陰陽バランスを調整し、心身の健康を維持するために重要な役割を担っています。その走行と機能を理解することで、鍼灸治療においてより効果的なアプローチが可能になります。

注意点

東洋医学的な経絡の概念は、現代医学とは異なる視点に基づいています。 鍼灸治療は、医療資格を持つ専門家にご相談ください。

参考資料

(参考文献の情報は、必要に応じて追記してください)

関連項目

奇経八脈
経絡
築賓穴
内関穴

外部リンク

* (外部リンクの情報は、必要に応じて追記してください)

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