陳坤書

陳坤書（ちん こんしょ）

陳坤書（生年不詳 - 1864年）は、太平天国の指導者の一人であり、護王に封じられた人物です。斜視であったため、「陳斜眼（ちんしゃがん）」という異名でも知られています。

生涯

広西省潯州府桂平県出身の陳坤書は、太平天国の蜂起に参加し、その軍事的な才能を発揮しました。1854年には西征軍に派遣され、安徽省巣県に駐屯しました。

1858年、忠王李秀成に従い、三河の戦いに参加。この戦いでは、湘軍の李続賓軍6千人を全滅させるという大きな戦果を挙げました。この勝利は、太平天国の勢力を大きく拡大させる要因となりました。

1860年1月から5月にかけて、李秀成に従って第二次江南大営攻略にも参加しました。この作戦では、5月26日に常州を占領、30日には無錫を奪取、6月2日には蘇州を降伏させるという目覚ましい戦果を上げました。さらに、6月13日には呉江と震沢を、15日には嘉興を陥落させるなど、破竹の勢いを見せました。これらの戦いを通じて、陳坤書は卓越した軍事指揮官としての名声を確立しました。

同年10月、陳坤書は蘇州の守備に派遣されました。しかし、1862年春には常州に移駐し、防衛の任に当たります。1863年春からは、李秀成と共に天京を救援するため各地を転戦しました。その間、太平天国の勢力は徐々に衰退しつつありましたが、陳坤書は最後まで奮戦しました。

常州の戦いと最期

1863年12月、江蘇巡撫李鴻章が率いる張樹声、劉銘伝、周盛波らの10万人の淮軍と、チャールズ・ゴードン率いる常勝軍3千人が常州への攻撃を開始しました。1864年4月25日には、常州の外城である金壇が陥落し、陳坤書の兄である陳志書が戦死しました。しかし、陳坤書率いる太平軍は奮戦し、3千人の淮軍を殲滅することに成功し、一時的に淮軍を撃退しました。

しかし、5月11日、淮軍と常勝軍は水陸両面から再び攻撃を開始。淮軍が城内に侵入し、市街戦となりました。この激しい戦いの中で、陳坤書は捕えられてしまい、数日後に処刑されました。

まとめ

陳坤書は、太平天国の指導者として、数々の戦いでその軍事的な才能を発揮しました。特に、江南での連戦連勝は目覚ましく、太平天国の勢力拡大に大きく貢献しました。しかし、太平天国の衰退とともに、その生涯を閉じることになりました。彼の武勇と最期は、太平天国の歴史の中で重要な一章として語り継がれています。

陳坤書の生涯は、太平天国という激動の時代を象徴しており、彼の戦いぶりは、当時の軍事戦略や戦術を研究する上でも重要な資料となっています。また、彼の斜視から「陳斜眼」と呼ばれたエピソードは、彼の個性と人となりを物語っています。太平天国の歴史を語る上で、陳坤書の存在は決して無視できないものでしょう。

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