陸前高田市立博物館

陸前高田市立博物館の概要

陸前高田市立博物館は、岩手県陸前高田市に位置する著名な文化施設で、岩手県立博物館や一関市博物館と並ぶ、県内で数少ない公開承認の博物館です。特に、2011年に発生した東日本大震災での影響を受けた後、再建されました。この博物館では、貝類の標本や漁具、津波に関する資料など、約7,300点を展示しており、震災によって損傷を受けた文化財の修復作業も進めています。

歴史

陸前高田市立博物館は、1959年に東北地方で初の公立登録博物館として設立されました。当初は旧気仙町役場の一部を改修して開館しましたが、2011年3月11日の震災により、博物館は壊滅的な被害を受けました。建物が全壊し、市内の文化施設の収蔵品が津波に流され、4名の学芸員のうち3名が犠牲となりました。

震災後、唯一生存していた学芸員たちは、全国の博物館や大学からの支援を受けて、収蔵品の救出作業を開始しました。この努力の結果、約46万点のコレクションが回収され、修復と安定化処理が進められます。

その後、震災によって被害を受けた市内の水族館「海と貝のミュージアム」との共同再建が決定し、2020年1月に再建工事が開始されました。2021年7月に竣工し、2022年11月5日に再開館しました。再開館以降は入館料を無料にし、祝日も開館しています。

再開館後も、収蔵品の修復作業は続いており、その様子は一部ガラス張りの作業室から見学できます。ただし、津波によって被災した資料の修復は、世界的に見ても珍しい試みであるため、修復方法が確立されていない案件もあります。再開館から数ヶ月は、約15万点の資料が未修復のままとなっていました。

現在、名古屋市博物館から無償貸出されたオーギュスト・ロダンの『考える人』が展示されており、その期間は2026年秋まで予定されています。

現施設の概要

博物館は設計者の内藤廣によるもので、地上2階にわたる構造を持ち、敷地面積は6,652 m²、延床面積は2,800 m²です。建物はRC造（鉄筋コンクリート造）で、一部には鉄骨が使用されています。再建の工事は2020年1月に着工され、2021年7月に無事竣工しました。

主な収蔵・展示物

博物館は数多くの貴重な収蔵品を展示しています。特に目を引くのは、ツチクジラの剥製で、これは約9.7 mの大きさを誇り、日本では最大、世界では唯一のツチクジラの剥製です。また、陸前高田の漁撈用具も注目されており、2008年に国の登録有形民俗文化財に指定されました。震災で一部が失われたものの、地元漁師の協力により修復作業が行われ、2023年には「陸前高田の漁撈用具」として国の重要有形民俗文化財に指定されています。

さらに、陸前高田市内に散在する貝塚から発見された膨大な数の骨角器が展示され、特に日本国内で唯一の発見例である軍配型骨角器もその中に含まれています。

アクセス

陸前高田市立博物館には公共交通機関が便利で、JR東日本の大船渡線BRT陸前高田駅から徒歩1分の距離です。自動車の場合は、三陸沿岸道路の陸前高田ICから約5分の位置にあり、近隣には公共の駐車場も整備されています。

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この博物館は、震災の経験を背負いながらも、地域文化の保存と復興に尽力している貴重な場であり、訪れる人々にとっては歴史を学ぶ貴重な機会となるでしょう。

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