陸奥 (戦艦)

戦艦「陸奥」

戦艦「陸奥」は大日本帝国海軍の誇り高き戦艦で、その名は青森県から福島県にかけての旧国名・陸奥国に由来しています。姉妹艦である「長門」と共に、陸奥は日本国民から親しまれ、帝国海軍の象徴として長い間親しまれてきました。1943年6月8日、主砲火薬庫の原因不明の爆発が勃発し、「陸奥」は沈没しました。この艦の歴史は、戦艦や海軍に対する国民の認識を形作る一部として重要な役割を果たしました。

概要

「陸奥」は長門型戦艦の二番艦として、八八艦隊計画に基づき建造されました。建造は横須賀海軍工廠で行われ、艦は1921年に竣工しました。竣工当時、「陸奥」は世界に7隻しか存在しなかった40cm砲を搭載する戦艦の一つであり、名実ともに『世界七大戦艦』の一艦として認識されていました。これにより、「陸奥」と「長門」は連合艦隊の旗艦として交互にその役割を果たし、広く知られる存在となりました。

戦前には多くの学校の教科書にも登場し、「陸奥」と「長門」は当時の連合艦隊を象徴する存在であり、子供たちにとって憧れの的でした。海軍兵学校では、「陸奥と長門の四〇センチ砲が太平洋を睨む限り、アメリカが攻めてこない」という言い伝えもありました。また、「陸奥」艦内には岩木山神社の神を祀る艦内神社が設けられ、乗員たちはその神社に参拝することで戦の勝利を祈りました。

第二次世界大戦の中での運用

「陸奥」は大戦中、他の戦艦部隊（大和、長門、伊勢、日向など）と共に着実に温存されましたが、実際の戦闘においてはミッドウェー作戦や第二次ソロモン海戦などに出動するも、敵艦隊と交戦する機会はありませんでした。1943年6月に起こった爆発事故によって沈没するまで、海軍は「陸奥」を重要な戦力として扱い続けていました。

衝撃の沈没事故

1943年6月8日、広島湾の柱島沖で「陸奥」は午後12時15分頃、三番砲塔から煙を噴き上げ、続いて大爆発を起こしました。この爆発は艦体を二つに折り曲げ、艦前部は右舷に傾いて転覆し沈没しました。この事故では、乗員1474名のうち、約350名が生き残ったものの、大半が艦内で爆死という形で命を落としました。乗員たちの多くは昼食後、甲板で仕事をしていた際に事故に巻き込まれ、脱出することも難しかったと言われています。生存者たちはその後、姉妹艦「長門」に収容されましたが、多くはその後南洋諸島へと派遣され、戦死していったとされています。

謎に包まれた爆発の原因

「陸奥」の沈没理由に関しては多くの推測がなされましたが、特に注目されたのが火薬庫の爆発でした。日本海軍は過去にも火薬庫の爆発による艦艦損失があり、火薬の自然発火や人為的な事故などが考えられました。詳細な調査が行われましたが、現在でもその真相は解明されていません。1970年に発見された遺骨や証言が新たな推測を呼んでおり、火薬の自然発火の可能性は低いとされていますが、人為的な爆発の可能性も排除されていない状況です。

沈没地点と引き揚げ作業

「陸奥」の沈没地点は現在も周防大島近くの海底に残っており、1963年に初めての海底調査が行われ、その後の引き揚げ作業においても艦の一部が回収されています。1970年には艦体の一部や主砲などが引き上げられ、多くの装備品が日本各地の博物館で展示されることとなりました。これにより、「陸奥」の歴史は決して忘れられることはなく、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

結論

戦艦「陸奥」の歴史は、軍艦の運用や日本の海軍の象徴としての在り方を理解する上で重要です。この艦が持った多くの戦歴や沈没に至るまでの過程は、日本の近代史における教訓として、今後も語り継がれるべき事柄として位置づけられています。

もう一度検索