陸軍総司令部 (ドイツ)

陸軍総司令部とは

陸軍総司令部（りくぐんそうしれいぶ、ドイツ語: Oberkommando des Heeres、略号：OKH）は、ドイツ国防軍における陸軍の最高指揮機関です。この組織は、他の軍種、つまり海軍の海軍総司令部や空軍の空軍総司令部に相当し、1914年から1918年にかけて存在した第一次世界大戦時の陸軍最高司令部（OHL）とは区別されます。

陸軍総司令部には、参謀本部や人事局、兵器局、国内予備軍、及び各軍集団が含まれます。これらの機関はそれぞれ特化した任務を持ち、組織としての効率を高める役割を果たしています。

国防軍最高司令部との関係

1938年に新たに設立された国防軍最高司令部との関係は明確には定義されていませんが、独ソ戦が始まると、陸軍総司令部は主に東部戦線に展開する部隊（Ostheer）の指揮を担当しました。その一方で、北アフリカや地中海、バルカン地域、フランスにおける作戦・指導の責任は国防軍最高司令部に譲渡されました。これは、戦局の変化に応じて、各指揮機関が特定の地域に集中して効果的に指揮を行えるようにするための措置でした。

地下司令部

陸軍総司令部は、1939年の開戦直前にベルリン郊外のヴュンスドルフに建設された地下のブンカーに移設されました。この施設は高い防空意識のもとに設計されており、地上には穏やかな農村風景が広がっていましたが、その地下には重要な指揮体制が整えられていました。この地下施設は「Maybach I」という秘匿名称で知られており、国防軍最高司令部の地下施設は「Maybach II」として知られています。1940年4月20日以降、陸軍総司令部は2個の指揮通信連隊を追加し、様々な指令間での長距離通信網を強化しました。戦後このブンカーは、1990年のドイツ再統一まで駐留していたソ連軍によっても利用されました。現在、訪問者はこのブンカー跡を見学することができます。

また、ベルリンのベンドラー街には国防省ビルが残っており、ここには国内予備軍司令部などの機関が設置されていました。特に、この場所は1944年7月20日に発生したヒトラー暗殺未遂事件の重要な舞台でもありました。

陸軍総司令官と組織

陸軍総司令部の最高指揮官は「陸軍総司令官」（Oberbefehlshaber des Heeres、OBdH）と呼ばれ、陸軍の業務を統括しました。これに加えて、陸軍参謀総長（Chef des Generalstabes des Heeres）は、旧プロイセン参謀総長と同等の権限を有し、全体の軍事戦略を策定しました。

1938年から1939年にかけての組織の構成は次の通りです：

• - 陸軍総司令官（OBdH）
• - 人事局（ボーデヴィン・カイテル、ヴィルヘルム・カイテルの弟）
• - 陸軍兵器局（フリードリヒ・フロム）
• - 徴兵局
• - 管理局
• - 装甲兵総監（ハインツ・グデーリアン）
• - 参謀本部（ルートヴィヒ・ベック）
• - 各部門や課にそれぞれ特化した役割

このように陸軍総司令部は複雑な組織構造を持ち、各機関が連携することで効率的な指揮運営を行っていました。特に、戦略の立案や戦術の実行に関しては、詳細な専門分野に基づいて分担されており、実戦での成功に寄与しました。

結論

陸軍総司令部は、ドイツ陸軍の重要な指揮機関として、特に第二次世界大戦の過程で大きな役割を果たしました。その歴史と組織は、軍事全般の運営において非常に興味深い側面を持ち、多くの歴史的事実と結びついています。

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