陽明山

陽明山（ようめいさん）

陽明山は、台湾の台北市郊外に位置する山岳地帯で、陽明山国家公園の中心をなしています。かつては「草山（そうざん）」と呼ばれていましたが、1950年に中華民国総統の蔣介石によって、明代の学者・王陽明にちなんで現在の名称に改められました。

地形と景観

陽明山は、大屯山や七星山などの複数の火山によって形成された地域で、噴火口やカルデラといった火山特有の地形を見ることができます。北投から金山にかけての断層沿いには多くの温泉が湧き出ており、その豊富な湯量は観光客にも人気です。また、亜熱帯に位置しながらも、標高の高い場所では冬季にまれに積雪が見られることもあり、雪化粧した陽明山の姿は「屯山積雪」として淡水八景の一つに数えられています。

陽明山国家公園

陽明山は、台湾で3番目に設立された国家公園です。大屯山、七星山、紗帽山、小観音山などの山々を含む広大なエリアを総称して陽明山と呼んでいます。日本統治時代には、その美しい景観から「台湾の箱根」とも称されていました。

1926年には、台湾日日新報社が「台湾八景」を選定した際、陽明山（当時は草山）は「十二勝」の一つに選ばれています。その後、1932年には大屯山国立公園協会が設立され、1937年には大屯、新高阿里山、次高タロコの3つの国立公園が成立しました。

1949年、蔣介石は首都を台北に移し、草山（現在の陽明山）を臨時首都としました。1962年には、陽明山国家公園化計画が開始され、1985年に正式に国家公園として指定されました。

火山と温泉

陽明山国家公園の最大の特徴は、大屯火山群による景観です。公園内には、小油坑遊憩区、冷水坑地区、大屯遊憩区、二子坪遊憩区、擎天崗地区などの見どころがあります。

小油坑遊憩区: 海抜約805メートルに位置し、中央の窪みから一年中蒸気が噴出しています。
冷水坑地区: 40℃程度の低温の温泉が湧き出ており、乳白色の池水が特徴です。台湾固有の水生シダである台湾水韭が群生する夢幻湖生態保護区も近くにあります。
大屯遊憩区: 大屯群峰、面天山、向天山などが含まれるエリアで、観光センターでは藍染産業を紹介しています。
二子坪遊憩区: 火山活動によって形成された凹地で、霧が発生しやすいことで知られています。
擎天崗地区: かつて牧場として利用されていた場所で、現在も牛が放牧されています。魚路古道や絹絲瀑布などの見どころもあります。

陽明書屋

陽明山国家公園内には、歴史的な建造物である陽明書屋があります。もともとは蔣介石の別邸でしたが、後に一般公開され、国家公園の重要な文化財となっています。

気候と自然

陽明山は亜熱帯と温帯の気候区に属しており、豊かな自然が広がっています。標高200～1000メートルの地域では、まれに降雪が見られることもあります。また、公園内には多様な動植物が生息しており、その豊かな生態系も魅力の一つです。

陽明山を舞台にした作品

小説家の埴谷雄高は、1950年に発表した小説『虚空』の舞台として陽明山を登場させています。

アクセス

陽明山国家公園へは、台北市内からバスやタクシーを利用してアクセスすることができます。

外部リンク

陽明山国家公園 - 日本語ページもあり

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