随意契約

随意契約について

随意契約（ずいいけいやく）とは、行政契約の一手法であり、国や地方公共団体が競争入札を行わず、自由に選んだ相手方と契約を結ぶことを指します。この方式は、特定の者を選定して契約を締結するため、契約担当官などの専門的な判断が求められます。随意契約の実施にあたっては、一定の法的規制が設けられています。

随意契約の制度

公共調達契約においては、一般競争契約や指名競争契約、随意契約といった契約方式が存在します。一般競争契約は、多数の業者が参加する形式で、価格や条件において公正な競争が行われます。一方、随意契約は、特定の条件を満たす場合に行われるものであり、原則として一般競争契約を採用することが求められていますが、その実施に際しては一定の条件を満たす必要があります。

特に会計法や地方自治法は、契約における公正さや経済性の確保を重視しています。これに基づき、随意契約が許可される場合は限定されています。例えば、特別な事情がある場合や緊急を要する場合などです。随意契約を行う場合には可能な限り見積書を複数の業者から徴収し、透明性を保つことが求められます。

随意契約が認められる条件

会計法第29条の3では、随意契約を締結できる条件が明示されています。以下にその一部を示します。

1. 契約の性質や目的が競争を許さない場合：特定の技術や独自の素材が必要で他社が提供できない場合など。
2. 緊急の必要がある場合：自然災害の対応や人命救助など、即時対応が必要な事態。
3. 競争に付することが不利な場合：過去の契約に基づき、再度の競争が不利益に働くと認められるとき。

また、少額の契約についても随意契約が許可される場合がありますが、一般には複数の見積書から選定することを求められます。

随意契約の長所と懸念

随意契約は、手続きが簡便であることや、相手の信用力や技術力を考慮して選定できる利点があります。しかし、慎重に運用しなければ不適切な価格での契約や公正な競争の欠如が懸念されています。そのため、随意契約の実施には厳格な条件が設けられています。

具体例とその後の見直し

過去には随意契約の運用において談合事件が発生するなど、透明性の欠如が指摘されました。これを受けて、国は随意契約の見直しを進め、特命随契など限定的な条件での契約を厳しく管理する方針を取りました。特に、契約理由の説明が求められ、合理的な理由なしでの分割契約が禁止される等の見直しがなされました。

結論

随意契約は効率的かつ迅速な契約締結が可能ですが、透明性と公正性を確保するために、厳格なルールに基づいて運用されなければなりません。国や地方公共団体は、随意契約を行う際には、法令に則った手続きと必要な条件を遵守し、健全な調達活動を行うことが求められるのです。

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