隠岐古典相撲大会

隠岐古典相撲大会とは

隠岐古典相撲大会は、島根県隠岐郡に伝わる伝統的な相撲大会です。一般的な相撲とは異なり、島内で祝い事があった際にのみ開催され、夜通し取り組みが行われるのが特徴です。島民が一丸となって大会を盛り上げ、地域社会の絆を深める重要なイベントとなっています。

歴史

隠岐地方では、古くから相撲が盛んでした。江戸時代初期には、水若酢神社の改築時に相撲興業が行われた記録が残っています。明治時代から昭和初期にかけては、島内で祝い事がある度に相撲大会が開催され、島を挙げての大イベントとなっていました。

しかし、高度経済成長期に入ると、若者が島外へ流出し、島内の活気が失われていきました。昭和30年代後半を最後に、相撲大会は途絶えてしまいます。この状況を憂いた地元出身の実業家、横地治男氏が中心となり、1971年に「大巾会」が設立されました。大巾会は、隠岐の相撲の伝統を継承し、島民の士気を高めることを目的としています。

翌年1972年、水若酢神社の二の鳥居復興を記念して、第1回隠岐古典相撲大会が開催されました。以降、島内で祝い事がある度に開催されるようになり、島内最大のイベントとして定着しています。

近年では、隠岐の島町出身の元大[[相撲]]力士・隠岐の海関が、自身の引退相撲を隠岐古典相撲の形式で行ったことも話題になりました。

大会の流れ

大会のおおまかな流れは以下の通りです。

1. 役力士の決定と番付発表: 大会開催の約1ヶ月前に役力士が決定し、番付が発表されます。出場力士たちは、この頃から稽古を始めます。また、地域の女性たちが中心となって、稽古後の食事や酒の準備を行います。
2. 出陣式と参拝: 大会1日目の午前11時30分に、役力士の家で出陣式が行われ、その後、力士たちは氏神に参拝します。
3. 行列: 午後4時30分には、力士たちが行列を組んで会場へ向かいます。
4. 大会開始: 午後5時30分、大会が始まります。各地域の力士が土俵に上がり、一人ずつ紹介されます。
5. 取組: 午後9時30分頃から、15歳前後の少年が務める「草結」による取組が始まります。その後、朝までほぼ途切れることなく取組が行われます。途中、相撲甚句の披露なども行われます。
6. 役相撲: 翌朝9時頃からは、役力士による取組「役相撲」が行われます。開始時間は遅れることもあります。

大会の特徴

座元と寄方: 大会は、20年に一度の水若酢神社の遷宮のほか、学校の開校や公共事業の完成などの祝い事がある際に行われます。祝い事があった地域を「座元」、他の地域を「寄方」と呼びます。この2つを、大[[相撲]]の東西に見立てて扱います。
役力士: 大関、関脇、小結に加え、草結と呼ばれる役が座元・寄方にそれぞれ存在し、最高位は大関です（横綱は存在しません）。これらの役に選ばれた力士を「役力士」と呼びます。役力士の選考基準は、相撲の強さに加え、地域への貢献度や人格なども考慮されます。また、運も重要な要素とされています。役力士以外の男性は、「割相撲」と呼ばれる300番にも及ぶ取組に出場します。
激励の塩: 土俵に上がる力士だけでなく、観客も力士に向かって塩を投げます。
人情相撲: 取組は2番行われ、最初に勝った力士は次の1番は相手に勝ちを譲り、1勝1敗となるようにするのが決まりです。これは、島内で人間関係に遺恨を残さないための配慮であり、隠岐古典相撲が「人情相撲」と呼ばれる所以です。
柱相撲: 役力士には、長さ約5mの太い柱が贈られます。このことから、隠岐古典相撲は「柱相撲」とも呼ばれています。

参考文献

大空出版『相撲ファン』vol.4 37頁から39頁

外部リンク

1200年の重厚な歴史と島らしい個性がひかる隠岐古典相撲の世界へ｜記事｜隠岐の島旅
隠岐古典相撲｜隠岐の島の観光情報サイト｜隠岐じま

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