雁坂峠

雁坂峠（かりさかとうげ）

雁坂峠は、埼玉県秩父市と山梨県山梨市の境に位置する峠です。標高は2,070mで、奥秩父の山域の主脈を形成しています。針ノ木峠、三伏峠と並び、「日本三大峠」の一つとして数えられています。

概要

かつては武蔵国の秩父盆地と甲斐国の甲府盆地を結ぶ重要な峠であり、「かりさかみち」とも呼ばれていました。現在は、国道140号がほぼ真下を雁坂トンネルで通過しています。1998年（平成10年）4月に雁坂トンネルが開通するまでは、自動車での通行が困難であったため、「開かずの国道」と言われ、峠を越えるハイキングコースが国道140号に指定されていました。

この道は「秩父往還」とも呼ばれ、埼玉県側は「彩甲斐街道」、山梨県側は「雁坂みち」とも呼ばれています。彩甲斐街道を少し北上すると栃本関所跡があり、山梨県側にトンネルを出るとすぐに西沢渓谷があります。

峠の頂上には笹薮の草原が広がり、南側には広大な展望が開けています。日本三大峠の一つであり、武田信玄の軍事用路「甲斐九筋」の一つでもありました。『日本書紀景行記』には、日本武尊が通ったという記述も残されています。

多くの地図やガイドブックでは標高2,082 mと記されていますが、これはかつての地形図を反映したものです。1973年（昭和48年）以降の測量では雁坂峠の標高表記が消えており、公式な測量は行われていなかったとする指摘もあります。しかし、2013年（平成25年）に埼玉県の秩父環境管理事務所によって付け替えられた道標では、雁坂峠の標高は2,070 mとなっています。これは、1959年（昭和34年）の伊勢湾台風による被害で峠道が現在の低い位置に付け替えられたことを反映したものです。

周辺情報

小屋: 雁坂小屋
隣接する山: 破風山、雁坂嶺、水晶山、古礼山、燕山、笠取山

雁坂峠を舞台とする作品

小説:
「雁坂越」（幸田露伴）
『木枯し紋次郎／笛が流れた雁坂峠』（笹沢左保、光文社刊「上州新田郡三日月村」所収）

関連情報

奥秩父山塊
秩父地方
日本の地理
国道140号
点線国道
雁坂トンネル有料道路
日本の峠一覧

外部リンク

* 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1地形図名：雁坂峠

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