雄

雄（オス）についての詳細

雄とは、動物の性別の一形態で、主に精巣を備え、精子を生成する役割を持つ個体を指します。植物の世界でも、雄については雄花を持つものを挙げることができますが、本稿では主に動物に関する事例を中心に述べます。雄の対義語は雌（メス）です。

概要

生物学の文献において「雄」という言葉は、通常、人間以外の動物を指します。動物の中で精子を生成する個体が雄とされ、一般的には記号「♂」で表現されます。この記号は男性器そのものを象徴するものではなく、雄を示すシンボルとして使われています。雄が作る精子は雌が生成する卵子よりも小型で、そのためエネルギーの消費も少なく済みます。このため、一般に雌よりも雄の方が数多くの精子を作る傾向があります。その多くは生殖に至らない妨害要因とも言える存在です。

雌雄の区別

個体の性別は、主に生殖巣により判別されます。生殖器の構造からも雄と雌を識別することが可能であり、体内受精を行う場合には特にその識別が容易です。生殖巣自体の違いは「一次性徴」として分類されますが、それ以外にも体に現れる性差、すなわち「二次性徴」も重要な要素です。二次性徴には繁殖行動や保育に関連する器官の発達、色彩の違いなどが含まれ、これらの場合には特に性的二型として認識されることもあります。

性質の差異

雄と雌の形質は、主に次のような違いがあります。

1. 配偶子のサイズ: 卵子は精子に比べて大きく、制作に時間がかかるため、雌は一度の繁殖を終えてから次の繁殖に移るのに時間を要します。これに対し、雄は妊娠のプロセスがないことから、比較的常に新たな繁殖機会を探すことができます。

2. 妊娠期間: 雌は妊娠中に次の繁殖を行えないため、繁殖可能な雌の数は常に雄よりも少なくなります。これが、雄同士の競争を生じさせる要因となりがちです。特に、哺乳類のように胎生の種では、この傾向が非常に顕著です。

3. 子育ての参加度: 子育てを主に担う雌が多いため、子育ての間は繁殖に関わることができません。このため、雄は常に競争に晒され、体格や二次性徴において優れた特徴を持つケースが多く見られます。

形質の発展

多くの雄は、雌を引き寄せるために色鮮やしい外見や派手な体の特徴を持つことが一般的です。これには角、羽、体毛などが含まれ、繁殖期になるとこれらが際立ちます。求愛行動や鳴き声などの行動も、雄が雌にアピールするための重要な要素となります。ただし、例外として雄が育児を行う種も存在し、タツノオトシゴのように、雄が派手な見た目を持つ場合もあります。

競争の様式

動物の社会において、雄同士の競争は生物学的な要因によって大きく影響されます。一夫多妻制の動物では、雄が稀に雌よりも大きくなることが多く、こうした状況では戦うための武器や示威行動が重要な役割を果たします。哺乳類や鳥類の中には、戦いのための身体的特徴を発達させた種も多々存在します。
一方で、一夫一妻制の動物や比較的穏やかな環境下では、競争が激化しないため、目立った性的二型は少ない傾向にあります。こうした様々な要因が働き、雄と雌の形質の違いに影響を与えていると言えます。

もう一度検索