雄物川

雄物川（おものがわ）

雄物川は、秋田県の南部を流れる一級河川であり、雄物川水系の主要な本流です。この川は、湯沢市と山形県最上郡真室川町の県境近くに位置する大仙山に源を発しています。十分一沢川や南沢川が合流し、雄物川が形成されます。川はまずは北へ向かい、穀倉地帯である横手盆地を流れ、大仙市の大曲では玉川と出会います。この地点から雄物川は流路を西に変更し、出羽丘陵を蛇行しながら北西へ進み、秋田市に入ります。市内では、秋田市街の南部を流れ、最終的には秋田市新屋町で日本海に注ぎ込みます。

地理的特徴

雄物川本流にはダムがなく、これにより大雨時には水量が急激に増加する一方で、夏の渇水期には大幅に減少します。このため、雄物川ではカヌーなどの水上活動が盛んであり、船着き場の整備もされています。また、大仙市に位置する「雄物川河川緑地」は、昭和62年度に手づくり郷土賞（水辺の風物詩）を受賞しており、地域住民に愛される場所となっています。

生態系

雄物川の流域には豊かな自然が残されており、上流ではイワナやヤマメなどの魚が、多く生息しています。中流から下流にかけてはウグイやヤリタナゴ、さらにブラックバスなどが見られ、地域の水域には多様な淡水魚が存在します。また、シーバスのように海から遡上してくる魚も多く、絶滅が危惧されるゼニタナゴの分布北限も、この流域にあたります。

歴史的背景

最初に雄物川に関する記録が残されているのは、天長7年1月3日（西暦830年1月30日）の日付で、地震によって河が干上がり、周囲の河岸が崩れたという事象です。この「秋田河」と称された河川が雄物川であると考えられています。また、江戸時代には河川を利用した水運が盛んで、上り舟には海の産物、下り舟には農産物が運搬されました。

河川改修

旧来の河口は土崎港（現在の秋田港）にありましたが、洪水防止のために大正から昭和にかけて大な改修が実施されました。新たに雄物川放水路が設けられ、旧雄物川は秋田運河としてその姿を変えました。この改修によって、その後生じた土地には住宅や工業地帯が開発され、国道7号や国道13号も新たに敷設されています。

交通とその他の支流

雄物川には多くの支流があり、十分一沢川や南沢川、松根川など様々な河川が合流して雄物川になります。また、多くの橋梁が架かっており、交通の利便性が高くなっています。特に、自動車道や国道なども通り、地域の重要な交通路としての役割を担っています。

流域自治体

雄物川が流れるエリアには、秋田県の湯沢市、雄勝郡羽後町、横手市、大仙市、秋田市などがあります。これらの地域では、川の恵みを受けた地域振興や観光資源の開発が進められています。花火大会などのイベントが行われるなど、地域文化の一部ともなっている雄物川。自然環境を守りつつ、地域の発展に寄与する姿勢が求められています。

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