雑色杉本遺跡

雑色杉本遺跡について

雑色杉本遺跡（ぞうしきすぎもといせき）は、神奈川県横浜市港南区笹下5丁目に位置する重要な考古学的スポットです。この遺跡は、縄文時代から古墳時代にかけての様々な文化が混在している複合遺跡であり、その価値は非常に高いとされています。遺跡自体は笹下中央公園内に埋まっているため、普段はその姿を目にすることは難しいですが、解説看板が設置され、訪れる人々に情報を提供しています。

立地

この遺跡は、大岡川の源流である笹下川と日野川が合流する平野部に位置しており、周囲には京急上大岡駅や横浜市営地下鉄ブルーライン港南中央駅があることからアクセスも良好です。特に、標高約60メートルの丘陵地帯にあり、遺跡は笹下川の西側に広がる台地状の尾根筋に位置しています。遺跡の範囲は、おおよそ230メートル×150メートルの区域で、現在は環状2号線がこの地域を横断しています。

調査の歴史

環状2号線の建設に伴って、遺跡範囲の北側部分が埋蔵文化財センターによって発掘調査されました。具体的には、1989年と1991年の2回、さらに1995年には本調査が実施され、多くの貴重な遺物が発見されました。調査の結果、縄文時代早期の土壙（落とし穴）が26基、竪穴建物跡が1棟、石組炉が1基、さらに溝状遺構が2条見つかりました。また、縄文時代早期に関連する地割れの痕跡も確認され、豊富な歴史的証拠が残されています。

出土した遺物には、縄文時代早期の土器（撚糸文土器や条痕文土器）、石器（石斧など）、さらに縄文中期及び弥生時代後期の土器片も含まれており、時代を通じた文化の移り変わりが示されています。加えて、中世には笹下城が存在したとされ、雑色杉本遺跡も城域に含まれていた可能性が高いことから、1989年の最初の調査では城郭遺構を探ることが目的でした。しかし、調査の結果、城郭遺構は見つからず、平坦な場所は縄文時代以前に形成された埋没谷の影響であることが明らかになりました。

現在の状況

発掘調査が行われた範囲は、環状2号線の建設により消失しましたが、その南側に隣接する笹下中央公園には元々の尾根が残っており、縄文から古墳時代の集落遺跡が地下に存在していると考えられています。この公園内には、遺跡を紹介するための説明板が設置されており、訪れる人々がこの地域の豊かな歴史を学ぶことができるようになっています。文化財としての評価が高まる中、雑色杉本遺跡は地域の重要な歴史的財産として認識されています。

このように、雑色杉本遺跡は過去の生活や文化を知る貴重な手がかりを提供しており、未来の研究にとっても鑑賞者にとっても非常に価値のある遺跡と言えるでしょう。

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