難聴者

難聴者とは、聴覚障害者の一つの区分であり、特に音声言語を獲得する前に聴覚を失った方々や、比較的軽度の聴力障害を持つ方々が、自身のアイデンティティを表現する際に用いる言葉です。これらの人々は、しばしば聾学校ではなく地域の学校に通い、その中で自身の障害を「難聴」と捉える傾向があります。

また、ろう者（デフコミュニティ）の文化や考え方に馴染めない、あるいは違和感を覚える聴覚障害者も、自らを難聴者と認識する場合があります。これは、聴覚障害を持つ人々が、自身の障害をどのように捉え、どのように社会との関わりを持つかを決定する上で、単なる聴力のレベルだけでなく、文化的背景や個人の価値観が大きく影響していることを示しています。

難聴者は、聴力レベルによって、軽度難聴者、中度難聴者、高度難聴者に分類されます。医学的には「ろう」レベルの聴力であっても、自身を「難聴者」と認識する人もいます。この点は、難聴者のアイデンティティが、医学的な診断だけでなく、文化的、社会的な背景によって形成されることを示唆しています。

難聴者の特徴として、口話（音声によるコミュニケーション）がある程度可能な方が多いことが挙げられます。特に軽度難聴の方であれば、電話での会話も可能な場合があります。一方で、手話の使用については、聴力レベルに関わらず、手話が使える人もいれば、使えない人もいます。難聴者が使用する手話は、多くの場合、日本語対応手話です。日本語対応手話は、日本語の文法構造に沿って手話単語を配置する手話体系で、ろう者が使う日本手話とは異なります。

また、難聴者は、音声によるコミュニケーションを追求する傾向があり、この点は中途失聴者（音声言語を習得した後に聴覚を失った人々）と共通する部分があります。

以下に、難聴に関連する用語をまとめました。

• - 難聴: 音の聞こえにくさ全般を指す言葉。
• - 聴覚障害者: 聴覚に障害を持つ人の総称で、難聴者、ろう者、中途失聴者を含む。
• - ろう者: 聴覚障害者の中でも、特に手話を言語として使用する人々。
• - 中途失聴者: 音声言語を習得した後に聴覚を失った人々。
• - 情報保障: 聴覚障害者が情報を得るために必要な手段（手話通訳、文字通訳など）。
• - 手話: 視覚的な言語であり、ろう者や難聴者がコミュニケーションのために使う。
• - 要約筆記: 話された内容をリアルタイムで文字化する情報保障手段。
• - インテグレーション: 障害のある人が、可能な限り通常の社会生活に参加することを目指す考え方。
• - 特別支援学級: 障害のある子供たちが、そのニーズに合わせた教育を受けるためのクラス。

難聴者の理解は、聴覚障害に関する知識だけでなく、その多様性と文化的背景を理解することが重要です。個々の難聴者がどのようなアイデンティティを持ち、どのようなコミュニケーション手段を好むのかを尊重し、共に生きやすい社会を築くことが求められます。

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