雨のウェンズデイ

「雨のウェンズデイ」は、1982年5月21日にリリースされた大滝詠一の11枚目のシングルです。この楽曲は、彼の代表作であるアルバム『A LONG VACATION』からのリカットとして発売されました。元々は前年にリリースされたシングル「恋するカレン」のB面として収録されていたものが、改めてシングルカットされる形となりました。

アルバム『A LONG VACATION』では、参加ミュージシャンが楽器パートごとにクレジットされていますが、大滝詠一自身によると、「雨のウェンズデイ」のレコーディングメンバーは、細野晴臣、林立夫、鈴木茂、松任谷正隆の4人であったとされています。大滝は、「この4人が一堂に会して演奏するのは久しぶりだったのではないか」と語っています。実はこの曲のセッションは2回行われており、最初のセッションでは別のメンバーで録音されましたが、満足のいく結果が得られなかったため、この4人に改めて参加を依頼したとのことです。

このメンバーでのレコーディングは、スタジオ内に独特の雰囲気を醸し出しており、差し入れに来た人がその殺気だった雰囲気に黙って帰ってしまったというエピソードも残っています。メンバー自身も緊張していたようで、この曲のレコーディング後には、その緊張を解き放つかのように、遊び心で「CM SPECIAL THEME」を録音し、3テイクも重ねたといいます。これは『ロンバケ』セッションの中で最も多いテイク数となりました。

演奏はテイク2でOKとなり、鈴木茂のギターソロに至っては1テイクで完了したといいます。楽曲に登場する2つのピアノパートは、どちらも松任谷正隆による演奏です。また、楽曲中には「WALK ON BY」のフレーズが挿入されており、これは大滝詠一の指示によるものです。

「雨のウェンズデイ」では、ダブルボーカルが使用されていますが、機械（デジタルディレイ）が使用されたのはこの楽曲のみです。大滝によると、通常ダブルボーカルを録音する際は、ソロで2回歌い、それぞれのテイクを重ねることで完璧なハーモニーを作り出すのですが、この曲ではそれがうまくいかなかったため、機械を使ったとのことです。歌詞の内容が切実であるため、機械で試した結果、良い結果が得られたと述べています。

初回プレスはクリアヴィニール仕様でしたが、再プレスからは通常の黒盤に変更されました。再プレス盤の方が珍しいとされています。

収録曲は、A面に「雨のウェンズデイ」、B面に「恋するカレン」が収録されています。作詞は松本隆、作曲は大滝詠一が担当しました。プロデューサーは大滝詠一、エンジニアは吉田保、イラストレーションは永井博が手がけました。

この楽曲は、多くのアーティストにもカバーされており、キリンジは1999年に行われた「風街ミーティング」でカバーを披露しています。

「雨のウェンズデイ」は、大滝詠一の音楽キャリアの中でも重要な一曲であり、その独特の雰囲気と卓越した音楽性から、今もなお多くの音楽ファンに愛され続けています。

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