雪の女王 (NHKアニメ)

アニメ『雪の女王〜THE SNOW QUEEN〜』詳細解説

2005年、アンデルセン生誕200年を記念して制作されたテレビアニメ『雪の女王〜THE SNOW QUEEN〜』は、NHKアニメ劇場枠で2005年5月22日から2006年2月12日まで全36話が放送されました。当初は39話予定でしたが、最終的には36話構成となりました。その後、2006年には総集編が6話分放送され、2011年にはNHK BSプレミアムでも再放送されています。

ストーリーとキャラクター

本作は、アンデルセン童話『雪の女王』を原作としていますが、単なる翻案ではなく、いくつかの重要な変更が加えられています。まず、主人公ゲルダの年齢は原作より高く設定されており、より自立した意志の強い少女として描かれています。また、雪の女王は、冷酷な悪役というよりは、複雑な心情を持つ、時に優しく時に勇敢な存在として表現されています。

さらに、本作にはオリジナルキャラクターとして吟遊詩人のラギが登場します。彼はゲルダの旅の仲間となり、物語に重要な役割を果たします。ゲルダの旅は、単なるカイの救出劇ではなく、彼女自身の成長と心の変化を映し出すロードムービー的な要素が強く、メルヘン調とは異なる、より冒険的な物語となっています。

物語の終盤では、復活した魔王との戦いが描かれるなど、ヒロイックな展開も含まれています。また、『ガンバの冒険』や『白鯨伝説』といった出崎監督の過去の作品と同様に、冒険の要素が強く打ち出され、様々なアンデルセン童話からのモチーフも散りばめられています。オリジナル要素とアンデルセン童話の要素が融合した、独自の物語世界が展開されています。

主要キャラクターは以下の通りです。

雪の女王: 氷の城に住む女王。赤トロルと青トロルというオリジナルキャラクターの従者を持つ。カイを自分の城で世話をするなど優しい一面を持つ一方で、彼を連れ去った風の化身に勇敢に立ち向かうなど、複雑な性格です。
ゲルダ: カイの幼馴染。カイを救うため、周囲の反対を押し切って単身旅に出る、強い意志と純粋な心を持つ11歳の少女。旅の中で様々な人々との出会いを通して成長していきます。
カイ: ゲルダの幼馴染。鏡の破片によって冷酷な性格に変わってしまいますが、雪の女王の庇護の下で過ごします。
ラギ: オリジナルキャラクターの吟遊詩人。武芸に長け、寡黙な性格ですが、ゲルダを助けるために尽力します。

アニメーションとスタッフ

本作の作画は劇画風のタッチが特徴で、静止画の挿入や画面分割、多数のキャラクターを配置するなど、独特の演出が用いられています。トムス・エンタテインメント制作の作品がNHKで放送されるのは、『おねがい!サミアどん』以来19年ぶりでした。

スタッフ陣も豪華で、監督は出崎統、音楽は千住明が担当しました。主題歌は小田和正がエンディングテーマ「大好きな君に」を担当。オープニングテーマ「スノーダイヤモンド」は千住明作曲、千住真理子バイオリン演奏と、話題を呼びました。

キャスト

主要キャストには、涼風真世（雪の女王）、川澄綾子（ゲルダ）、夏樹リオ（カイ）、仲村トオル（ラギ）など、実力派声優陣が集結しています。その他にも、多くの有名俳優や声優がゲスト出演しています。

その他

放送終了後には、関連書籍やサウンドトラックも発売され、幅広い層に支持されました。新聞の番組表に川澄綾子（ゲルダ役）の名前が載らなかったというエピソードや、涼風真世が主演として扱われたことなどは、当時話題となりました。

『雪の女王〜THE SNOW QUEEN〜』は、アンデルセン童話をベースにしながらも、オリジナルの要素を大胆に取り入れ、独特の世界観を作り上げた、出崎統監督の代表作の一つと言えるでしょう。ロードムービー的な構成、劇画風の作画、そして豪華な声優陣とスタッフ陣によって生み出された、忘れがたいアニメ作品です。

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