雪上車

雪上車（せつじょうしゃ）

雪上車は、主に雪や氷の上を走行するために設計された自動車で、英語では「snowcat」と呼ばれています。この車両は、無限軌道を装備しており、不整地でも容易に移動できることが特長です。雪の多い地域では、人員や物資の輸送、または作業などに広く利用されています。

特徴

雪上車の性能で特に重要視されるのは、柔らかい積雪の上での走行能力です。また、山岳地を登ったり旋回したりするための運動性も求められます。雪上で沈まずに走行するためには、接地圧力を0.12kg/cm²以下に抑える必要があります。そのため、多くのスキー場用雪上車では、履帯幅を広くして接地圧を下げているのです。

雪上車の材料には、軽量かつ高強度で、低温に耐えられる特別なものが用いられており、これによりどうしても高価格となる傾向があります。雪上車は、スキー場の整備だけでなく、テレビやラジオの中継局の保守点検や除雪作業など、さまざまな場面で活用されています。

形式

雪上車は、大きく分けて車輪方式と履帯方式の2種類に分類されます。履帯方式は車輪のかわりに無限軌道を併設しています。この履帯方式は、雪や不整地では機動力が優位ですが、回転抵抗が大きく、構造が複雑で、騒音も大きくなるといったデメリットがあります。

市販の自動車をベースに小型の無限軌道装置（クローラ）に改造する雪上車も存在しますが、オリジナルの雪上車に比べて雪上性能は劣ります。また、日本では、雪上車のサイズや機能に応じて、大型特殊自動車、普通[[自動車]]、小型特殊自動車のカテゴリに分かれ、それぞれの運転には必要な免許があります。

歴史

雪上車の歴史は、20世紀に入った機械文明の発展とともに進展しました。初めて履帯式のトラックが開発されたのは1910年で、南極探検を目指したロバート・スコットに特注されましたが、エンジンが故障し使用できませんでした。とはいえ、キャタピラ技術が、第一次世界大戦の戦車開発に影響を与えたと言われています。

日本では、1927年に米国からの輸入品が妙高温泉で初めて使われ、その後の研究開発は第二次世界大戦後に活発化しました。例えば、1951年には江別市の消防署の依頼で冬期用の消防雪上自動車が開発され、同年には新潟県の依頼により全装軌式の雪上自動車「ふぶき1号」が誕生しました。

その後も進化を続け、小松製作所や大原鉄工所などが雪上車の開発に尽力し、南極観測にも対応できる性能を持つ車両が生まれました。例えば、南極観測隊で使用される「SM100S」シリーズは、最大牽引能力や耐寒性能において特筆すべき特徴を持っています。

最近では、全輪駆動自動車をゴムクローラーに改造した新しい形式の雪上車も登場し、業務からレジャーまで多様な用途で存在感を示しています。日本国内には雪上車による人員や物資輸送を専門とする会社も存在しています。

メーカー

主な雪上車のメーカーには、大原鉄工所、新潟鐵工所、ボンバルディア、ヤマハ発動機などがあります。これらの企業は、高品質な雪上車を日本国内だけでなく、国際市場でも提供しています。

機械遺産

2014年には、日本の南極観測で使用された雪上車が「機械遺産」に認定されるなど、その歴史的意義が広く認識されています。もともと雪上車は厳しい環境での作業や研究に欠かせない道具であり、今後もその進化が期待されます。

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