雪國 (曲)

『雪國』の魅力と影響

吉幾三の「雪國」は、1986年2月25日にリリースされた楽曲で、彼のキャリアにおいて重要な転換点を示す作品です。この曲は、歌手としての彼の方向性をコミックソングから本格的な演歌へとシフトさせたものとして知られています。作詞・作曲は全て吉自身によって行われており、その独自の視点から生まれた歌詞とメロディーは、多くの人々の心に響きました。

曲の背景と創作の経緯

「雪國」は元々、栃木県那須のホテルでの宴会席で即興的に作られたものでした。その初期の歌詞は、「好きよ あなた」という愛のメッセージとは対照的に、下ネタにあふれたものでした。しかし、レコード会社のディレクターからメロディーの素晴らしさを評価され、真面目な歌詞に作り直すことが提案されます。吉はその後、NHKの『新日本紀行』の中で観た奥羽本線の列車が雪煙をあげて走る光景に触発され、「女の人が男の人を追う」というテーマを持った歌詞を思いついたといいます。

当初、イントロの印象的なストリングスはエンディングに使う予定でしたが、最終的には現在の形に落ち着き、曲全体にわたって深い感情を漂わせることに成功しました。このようにして生まれた「雪國」は、発売後に大ヒットを記録し、コミックソング路線から演歌歌手への転身を果たしました。

ヒットの要因と影響

発売された1986年、吉は大河ドラマ『いのち』に出演しており、その影響でプロモーション活動がほとんど行えない状況にありました。そのため、初めは注目を集めることができませんでしたが、やがて曲が広まり、年末の第37回NHK紅白歌合戦に初出場したことで、彼の名声は一気に上昇しました。また、1987年2月にはオリコンで1位を獲得し、演歌としては2曲目の週間第1位を記録しました。この成功によって、吉幾三は演歌歌手として広く認識されるようになりました。

セールスとその後

「雪國」は100万枚を超えるミリオンセラーとなり、吉自身は累計65億円の売上を誇ると語っています。その印税は、彼が大好きなお酒に消えていったという逸話も残されています。この楽曲は吉にとって非常に特別なものであり、感極まった彼は「ついに第一位　雪国」とのアナウンスに感動し、一部の歌詞を歌えないほどでした。

引き継がれる名曲

「雪國」は、リリース以来他のアーティストによってもたびたびカバーされています。嵐の大野智やPE'Z、ジェロ、柏原芳恵など、多くのアーティストがこの名曲に歌声を乗せています。これにより、この曲は時代を超えて愛され続け、多くの世代に支持されています。

結論

「雪國」は、吉幾三の音楽キャリアにおける転機となる作品であり、彼自身のクリエイティブな才能と日本の演歌の底力を証明する楽曲です。彼の葛藤や感情が色濃く反映されたこの曲は、単なるヒットソングではなく、彼の人生そのものが詰まった大切な一曲なのです。

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