雪山トンネル

雪山トンネル（せつざんトンネル）

雪山トンネルは、台湾の北宜高速公路に位置する、全長12.9kmの長大トンネルです。正式名称は雪山隧道（せつざんずいどう）といい、英語ではHsuehshan Tunnelと表記されます。このトンネルは、高速道路用トンネルとしては台湾最長であり、世界でも5番目の長さを誇ります。

建設の難航

雪山山脈を貫通するこのトンネルの掘削は、98箇所もの断層や32箇所もの湧水が確認されるなど、地盤が非常に悪い地域を通過するため、13年にも及ぶ難工事となりました。北宜高速公路全体の31kmのうち、12.9kmをこのトンネルが占めています。1991年7月に着工し、2004年9月14日に上下線が貫通しました。

開通と交通の変化

2006年6月16日13時(UTC+8)に開通式が行われ、小型自動車の通行が開始されました。2007年11月15日からは、高速バスや貸切バスなどの大型乗合自動車も通行できるようになり、台北市内と宜蘭県方面（宜蘭駅・羅東駅など）を結ぶ高速バスが頻繁に運行されるようになりました。これにより、遠回りとなる鉄道（東部幹線）と比較して、この区間の利便性が大幅に向上しました。

厳格な交通規制

台湾では、10km以上の自動車用トンネルを供用するのは初めての試みであり、安全確保のため、他の高速道路用トンネルと比べて厳格な規制が敷かれています。開通当初は、トンネル区間の最低速度は50km/h、最高速度は70km/hに制限され、車間距離は50m（バスは100m）以上、渋滞時（20km/h以下）でも20m以上の車間距離を保つ必要がありました。

トンネル内には、レーダーによる速度検知器が上下線に各4機設置されています。開通当初は速度規制が厳しく運用され、わずかな速度超過でも取り締まりが行われていました。このため、多くの車両が低速で走行し、渋滞の原因となっていました。その後、台湾の交通部（国土交通省に相当）は規制を緩和し、一般の高速道路と同様の10km/hの超過を認め、81km/h以上の速度超過を取り締まるように変更しました。

2008年3月16日には、トンネル区間の最高速度が80km/h、最低速度が50km/hに引き上げられました。さらに、交通量の増加に伴う渋滞の発生や、事故発生がないことを踏まえ、2010年4月からは、取り締まり対象が90km/h以上の速度超過、または60km/h以下の低速走行に定められました。ただし、最低速度違反は、渋滞、事故、故障の場合には適用されません。

安全対策

安全上の理由から、当初は小型自動車のみが通行可能でしたが、2007年11月15日以降は、高速バスや貸切バスなどの大型乗合自動車も通行できるようになりました。ただし、大型車両には、消火器の設置、非常ドアの作動、乗客への非常時対処法の説明（ビデオ放映）など、小型自動車よりも厳しい安全基準が設けられ、抜き打ちでのチェックが行われることもあります。なお、トラックは現在も通行禁止です。

まとめ

雪山トンネルは、その建設の難易度や、開通後の交通への影響、そして厳格な安全対策など、様々な点で特筆すべきトンネルです。台湾の交通網において重要な役割を果たしており、多くの人々の移動を支えています。

外部リンク

* 国道五号雪山隧道 （中国語）

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