雷 (雷型駆逐艦)

駆逐艦「雷」について

駆逐艦「雷」は、大日本帝国海軍に所属し、海洋戦闘において不可欠な役割を果たした艦船である。「雷」という艦名は、日本語で「カミナリ」または「ナルカミ」という意味を持ち、後に別の駆逐艦と区別するために「初代雷」や「雷I」とも呼ばれた。

艦歴の始まり

「雷」の建造は1897年（明治30年）にイギリスのヤーロー社と契約を結ぶところから始まった。この艦は、第1回目の駆逐艦建造契約の中の1隻であり、1898年（明治31年）に艦名が「雷」と定められた。建造作業は順調に進み、1898年3月には艦の種類が決まり、11月に進水、翌年の1899年2月に竣工となる。

日本への回航

艦は建造後、日本へ自力で回航する運びとなった。グレブセンドを出発し、ジブラルタルやマルタ、アデンを経て、5月25日には佐世保に到着。その後、6月には横須賀に至った。

日露戦争への参加

1904年に勃発した日露戦争では、第1艦隊第2駆逐隊に所属し、重要な作戦に参加した。特に、2月8日の旅順港奇襲攻撃や、2月24日の旅順港閉塞作戦、そして5月27日には日本海海戦にも従事した。これらの作戦で「雷」はその存在感を大いに示した。

戦後の経歴

日露戦争後、1905年には「第四駆逐隊」が編成され、「雷」はこの駆逐隊に所属することが決定された。1912年には艦の類別が三等駆逐艦に変更され、ほぼその後もこの位置を保っていた。

喪失の経緯

しかし、艦の運命は1913年に訪れた。戦闘訓練のため出港した「雷」は、午前9時頃に3番ボイラーが爆発し、その影響で艦底に大きな破口ができてしまった。この事故により、死傷者が出た他、艦は重大な損傷を受けることとなる。艦体は曳航中にさらなる損傷を受け、最終的に浸水によって沈没の運命を辿った。

非常に困難な撤去作業

艦の引き上げには約16,100円、修理には約45,200円の費用が見込まれ、結果として艦は売却処分されることが決まった。1913年11月には除籍されるが、その後も艦の船体は沈み続け、1914年4月29日には完全に沈没した。

最後の瞬間

「雷」の艦長や回航委員長の記録から、艦の歴史に名を刻む多くの指揮官が居たこともわかる。艦は日本海軍史において、重要な役割を果たしながらも、運命に翻弄された艦であった。「雷」は艦艇類別等級表からも削除され、完全にその姿を消したが、その歴史は今も語り継がれている。

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