電動サンダー

電動サンダー：研磨作業を効率化する電動工具

電動サンダーは、木材や金属の研磨、塗装剥がし、錆落としなど、幅広い用途で活躍する携帯式の電動工具です。JIS規格では「サンダ」と表記されます。手作業での研磨に比べて作業時間を大幅に短縮できるため、DIYからプロの現場まで広く利用されています。主なタイプとしては、オービタルサンダ、ランダムサンダ、デルタサンダなどがあり、それぞれ特徴が異なります。

歴史

携帯式オービタルサンダは、1951年にドイツのFesto（現フェスツール）社によって初めて開発されました。このオービタルサンダは、現在のサンディング作業で広く使われているダブルアクションサンダの原点となっています。また、フェスツール社は1965年には、粉塵による人体への影響を考慮し、集塵機能付きのサンダを開発しました。これは、作業者の健康保護にも大きく貢献しました。

世界初のランダムアクションサンダは、1988年にボッシュ社によって開発されました。このランダムサンダは、オービタルサンダよりも強力な研磨力を持つため、より効率的な作業が可能となりました。ベルトサンダは、1926年にポーターケーブル社のEmmonsによって開発されました。

種類

電動サンダーには、用途や作業内容に応じて様々な種類があります。以下に主なタイプとその特徴を解説します。

オービタルサンダ

オービタルサンダは、サンダの中でも最も一般的なタイプです。四角形のサンディングディスクが数ミリメートルの小さな振動で動き、材料を研磨します。強力な研磨力はないため、主に塗装前の表面仕上げや、フローリングのワックス剥がしなどに適しています。使用時には、サンダの動きに合わせて軽く擦るように動かすのがコツです。強く押し付けるとディスクが目詰まりを起こす可能性があるため注意が必要です。多くの製品には、研磨クズを吸引するための穴が設けられています。

ランダムサンダ

ランダムサンダは、ランダムアクションサンダ、ランダムオービットサンダとも呼ばれます。円形のサンディングディスクがオービタル運動をしながら回転することで、材料を研磨します。オービタルサンダよりも強力な研磨力を持つため、粗いサンドペーパーを使用することで、金属の錆落としや塗装前の下地処理などにも利用できます。

デルタサンダ

デルタサンダは、サンディング面が三角形のサンダです。この形状により、狭い隅部分の研磨に特に適しています。サンディング面の動きは細かな振動で、ゆっくりと軽く擦るように使用します。サンディングペーパーの種類も豊富で、木材の研磨や艶出しだけでなく、タイル磨きにも使用できます。

ベルトサンダ

ベルトサンダは、ベルト状につながれたサンディングベルトを連続的に循環させて研磨するタイプのサンダです。広い面積を効率的に研磨できるだけでなく、ベルトが一定方向に移動するため、研磨クズの排出能力が高いのが特徴です。また、ベルトを支える部分が金属製であるため、綺麗な平面加工が可能です。上下を反転させて作業台に取り付ければ、卓上サンダとしても使用できます。ベルトは、木工用、鉄工用、石材用など、材料に合わせて専用のものを使用します。

ディスクサンダ

ディスクサンダは、回転運動のみで研磨を行うタイプのサンダです。

主なメーカー

電動サンダーを製造している主なメーカーとしては、以下の企業が挙げられます。

京セラインダストリアルツールズ
工機ホールディングス
マキタ
ボッシュ
ブラック・アンド・デッカー
フェスツール (Festool)
デュオルト (DEWALT)

これらのメーカーは、それぞれ特徴的な製品を開発しており、ユーザーのニーズに応じたサンダーを提供しています。

まとめ

電動サンダーは、DIYからプロの現場まで、幅広いシーンで活躍する電動工具です。種類が多く、どれを選べば良いか迷うかもしれませんが、用途や作業内容に合わせて最適なサンダーを選ぶことで、作業効率を大幅に向上させることができます。この情報が、皆様のサンダー選びの一助となれば幸いです。

参考資料

『DIY道具事典』2010年4月20日発行。株式会社学研パブリッシング。
『The History of Palm Sanders』著者 Sara Kirchheimer 2011年1月
Popular Science 1953年7月「portable sanderについての記事」

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