電子データ交換

電子データ交換（EDI）とは

電子データ交換（EDI：Electronic Data Interchange）とは、標準化された規約（プロトコル）に基づいて、電子化されたビジネス文書（注文書、請求書など）を、専用回線やインターネットなどの通信回線を介してやり取りする仕組みです。特に企業間の取引において、受発注などの業務を効率化するために利用されます。

経済産業省は、EDIを「異なる組織間で、取引のためのメッセージを、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピュータ間で交換すること」と定義しています。

EDIの規格

EDIの規格は、以下の4つのレベルで構成されています。

レベル4：取引基本規約
法的有効性を確保するための契約書に相当します。
レベル3：業務運用規約
業務やシステムの運用に関する取り決めを定めます。
レベル2：情報表現規約
データの構造や項目を定義し、異なるコンピュータ間でデータを理解できるようにします。
レベル1：情報伝達規約
OSI階層のような通信方法を規定します。

これらの規格に基づき、取引先との間で統一されたデータ形式で情報を交換することで、事務処理の効率化、コスト削減が期待できます。

EDIのメリット

EDIを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

事務経費の削減
紙の書類の作成、印刷、郵送などの手間を削減できます。
業務効率の向上
データの入力ミスを減らし、処理時間を短縮できます。
リードタイムの短縮
情報伝達のスピードが向上し、取引の迅速化が図れます。

EDIの課題

一方で、EDIの導入には以下のような課題も存在します。

データ形式の不一致
取引先間でデータ形式が異なると、変換作業が必要になり、かえって事務量が増加する可能性があります。
セキュリティ
データの機密保持やセキュリティ対策が重要です。

これらの課題を解決するために、データ形式の統一やセキュリティ対策が重要となります。

EDIの普及と標準化

当初、EDIはVAN（Value Added Network）を介して、特定の企業間での取引に利用されることが一般的でした。しかし近年では、業種を横断し、大企業と中小企業とをつなぐためのプラットフォームとしての役割も期待されています。

中小企業庁が主導する「中小企業共通EDI標準」は、国際標準であるCEFACTに準拠しており、中小企業のEDI導入を促進しています。また、金融EDIとの連携も進められており、自動記帳や自動仕訳、売掛金の自動消込など、業務効率化の更なる発展が期待されています。

EDIで使われるデータ構文と伝送手順

データ交換に使われるデータの構文には、国や地域、業界によって様々な規格が存在します。代表的な規格としては、UN/EDIFACT、EANCOM、JEDICOS、CII標準、ANSI ASC X12などがあります。また、伝送手順としては、AS1、AS2、AS3、ebXML Message Service、全銀協標準プロトコルなどが利用されています。

日本国内のEDIで利用される主な規格と伝送手順

データ構文
UN/EDIFACT
EANCOM
流通標準EDI (JEDICOS)
CII標準
鉄鋼EDI標準
広告取引EDI標準メッセージ集
EIAJ-EDI標準
JTRN
石化協ビジネスプロトコル
資材系電力ビジネスプロトコル標準
CI-NET標準ビジネスプロトコル
新聞広告取引EDI
日本チェーンストア協会 標準データ交換フォーマット
日食協標準EDIフォーマット
家電製品協会 EDI標準化仕様
流通ビジネスメッセージ標準（流通BMS）
ebXML
Universal Business Language
RosettaNet
Chem eStandards
カミネット EDI規約
ラジオスポットCMスケジュール表
電気料金収納業務ビジネスプロトコル標準
伝送手順
AS1
AS2
AS3
ebXML Message Service
RosettaNet Implementation Framework
全銀協標準プロトコル
JX手順
BACREX手順
F手順

旧伝送手順

JCA手順
JCA-H回線
全銀協標準プロトコル ベーシック手順
* 全銀TCP/IP手順

EDIの交換所・EDIセンター

業界ごとにEDIの利用を促進するために、様々な交換所やEDIセンターが設置されています。例えば、JNX、鉄鋼EDIセンター、航空機業界EDIセンター、流通システム開発センター、カミネットなどが存在します。

EDIの2024年問題

NTT東西が提供するISDN回線が、2024年1月にサービス終了することが決定しています。これにより、ISDN回線を利用している旧来のEDIシステムが利用できなくなる可能性があります。そのため、EDIシステムの移行を早期に進める必要があります。

電子帳簿保存法との関係

EDIは電子取引にあたるため、電子帳簿保存法の対象となります。EDIでやり取りされた電子データを保存する場合、タイムスタンプの付与や、訂正・削除を防止する措置を講じる必要があります。

まとめ

EDIは、企業間の取引を効率化するための重要なツールです。データ形式の統一やセキュリティ対策を行い、2024年問題に対応することで、より効果的にEDIを活用することができます。

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