RosettaNet

RosettaNetとは

RosettaNet（ロゼッタネット）は、電子商取引における標準プロセスを確立することを目的とした、非営利の標準化団体です。コンピュータ、家電製品、電子部品、半導体製造、電気通信、物流などの幅広い業界の企業が参画し、業界全体でオープンなe-ビジネス標準を策定しています。

この標準は、グローバル規模でサプライチェーンに関わる企業間のプロセスを調整するための共通言語として機能します。これにより、企業間の取引が円滑化され、効率的なサプライチェーンマネジメントが実現可能になります。

RosettaNetはGS1 US（旧Uniform Code Council, UCC）の傘下にあり、世界中の企業から500以上のメンバーが集まっています。コンソーシアムは、アメリカ、マレーシア、ヨーロッパ、日本、台湾、中国、シンガポール、タイ、オーストラリアに地域団体（RosettaNetではアフィリエイトと呼称）を設置しています。

標準規格の概要

RosettaNet標準は、電子データ交換（EDI）の一部として、eコマースドキュメントと交換プロトコルの両方を定義します。メッセージフォーマットにはXMLを採用し、メッセージの送受信にはHTTPベースの独自プロトコルであるRNIF（RosettaNet Implementation Framework）を使用します。

この標準は、メッセージガイドライン、ビジネスプロセスのインターフェース、企業間取引の実装フレームワークなどを定めています。主な適用範囲はサプライチェーン領域ですが、製造、製品、材料業界のデータおよびサービスプロセスも対象としています。この規格は、世界の半導体業界だけでなく、電子部品、家電製品、電気通信、物流業界にも広く普及しており、特にアメリカとアジア諸国で政府からの支援も受けています。一方で、ヨーロッパではEDIFACTが広く使用されています。

RosettaNet Automated Enablement（RAE）標準は、Office Open XMLドキュメント標準を使用しています。また、RosettaNetテクニカルディクショナリ（RNTD）は、RosettaNetを利用した取引における製品の分類と特性評価のための参照モデルを提供しています。

歴史

RosettaNetは、1998年にFadi Chehade氏によって設立されました。当時、イングラムマイクロ社の電子商取引担当であったFadi氏は、パートナー企業との電子情報交換の実装に多大なコストがかかることから、国際標準の必要性を痛感していました。

Fadi氏は業界の有力企業に標準化組織の立ち上げを提案し、初代CEOに就任しました。RosettaNetという名前は、企業間の情報交換のための共通言語を作るという標準化活動の目標から、Fadi氏の生まれ故郷近くで発見されたロゼッタ・ストーンにちなんで名付けられました。

設立当初の本部はカリフォルニア州サンタアナにありましたが、その後、2000年にFadi氏がCEOを退任し、Viacore社を設立。後任にはJennifer Hamilton氏が就任しました。2002年にはUniform Code Council（現GS1 US）と合併し、その下部組織となりました。

2004年にJennifer氏がプレジデントを退任し、Herman Stiphout氏がプレジデントに就任。2005年には本部を東海岸に移転しました。RosettaNetのウェブサイトは2013年末までに閉鎖され、RosettaNetの標準規格は現在、GS1 USのウェブサイトで管理されています。

日本においては、2000年4月にアフィリエイトとしてロゼッタネットジャパン（RNJ）が発足しましたが、2013年3月末をもって活動を終了し解散しました。

ebXMLとの関係

ebXMLは、RosettaNetとは異なる標準化の対象領域を持っています。RosettaNetは、企業間の情報交換の語彙およびプロセス仕様を具体的に仕様化することを目的としていますが、ebXMLは、業界仕様開発を支援する技術仕様の策定を目標としています。

例えば、ebXMLには「電子業界のためのメッセージ標準」というものは存在しません。そのため、RosettaNetとebXMLは本来補完関係にあります。ただし、RosettaNetのRNIFはebXML Message Service（ebMS）とほぼ同じ層の技術仕様であり、この点では競合関係にあります。

RosettaNetがRNIFを開発したのは、当時そのような技術仕様が存在しなかったためであり（ebMS 1.0の標準化は2001年）、現在ではRosettaNetの中心的な関心事ではありません。実際、RosettaNetは2001年に「RNIFの次期版はebMSに準拠したものになる」という計画を発表し、2004年にはebMS 2.0、AS2、WS-I BP 1.0をメッセージ送受信プロトコルとして採用する技術プログラムを開始しています。

CCTSおよびUN/CEFACT Core Component Library（ebXML Core Componentsを参照）をRosettaNetに採用する可能性も検討されていますが、メッセージ仕様が大幅に変更されるため、関係者の間では慎重な対応が求められています。

関連項目

電子データ交換 (EDI)
ebXML
Office Open XMLをサポートするソフトウェア一覧

外部リンク

RosettaNet ウェブサイト (GS1 USの管理下)
元のRosettaNet ウェブサイト (2013年12月にアーカイブ)
ロゼッタネット・ジャパン (2013年3月末日で解散、2013年4月にアーカイブ)
* EDIFICE - European RosettaNet User Group

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