電子投票

電子投票とは

電子投票とは、紙の投票用紙の代わりに電子機器を用いて投票を行う方式です。このシステムは、投票所での電子機器利用から、インターネットを介した遠隔投票まで、幅広い形態を含みます。投票の対象も公職選挙、株主総会、私的団体の決議、アンケートなど多岐にわたります。

電子投票の種類

電子投票は、その実施方法によっていくつかの種類に分けられます。

集計における電子投票：投票所でマークシートやパンチカードを使用し、それを電子機器で読み取る方式です。
投票行為に関する電子投票：投票所でタッチパネルや押しボタン式の電子機器を用いて直接投票する方式です。
ネットワークを利用する電子投票：インターネットを通じて遠隔地から投票する方式です。

日本では、公職選挙において「投票行為に関する電子投票」が用いられることがありますが、普及は限定的です。

日本における電子投票の現状

日本では、2002年に電子投票法が施行され、一部の地方自治体で電子投票が導入されました。しかし、機器のトラブルが相次ぎ、普及は進みませんでした。

電子投票の年譜

2002年：岡山県新見市で全国初の電子投票が実施されました。
2003年：広島市、白石市、鯖江市、可児市、大玉村、海老名市などで電子投票が実施されました。
2004年：六戸町、京都市、新見市、白石市、四日市市などで電子投票が実施されました。
2005年：新見市が電子投票条例を廃止。
2006年：広島市が電子投票条例を廃止し、新見市が改めて制定。
2007年：六戸町、白石市、大玉村で電子投票が実施されました。
2008年：京都市、白石市、四日市市で電子投票が実施されました。
2009年：新見市で電子投票が実施されました。
2010年：白石市が電子投票を休止。
2011年：海老名市、四日市市が電子投票を休止。
2012年：京都市で電子投票が実施されました。
2013年：新見市、六戸町で電子投票が実施されました。
2015年：京都市が電子投票を廃止。
2016年：六戸町で電子投票が実施されました。
2018年：六戸町が電子投票の休止を発表。
2020年：新見市が電子投票を廃止。
2024年：四條畷市で電子投票を実施。

多くの自治体で電子投票の導入が試みられましたが、機器のトラブルやコストの問題、法制度の制約などから、普及は限定的です。2024年には、四條畷市で久しぶりに電子投票が実施されました。

各国における電子投票の活用

海外では、電子投票の導入が進んでいる国も存在します。以下にいくつかの例を挙げます。

エストニア：2005年から電子投票を正式に採用し、インターネット投票も実施しています。
韓国：2006年以降、一部の選挙で電子投票が導入されていますが、大統領[[選挙]]や総選挙での導入は見送られています。
アメリカ：直接記録電子投票機（DRE）が採用されていますが、改ざんのリスクから導入は限定的です。
ブラジル：1994年に電子投票を導入し、ハイブリッド方式に移行しました。
アルゼンチン：地方選挙で電子投票用紙が普及しています。
ベネズエラ：電子投票機が導入されていましたが、2020年に新型の電子投票機が導入されました。
インド：1982年から電子投票機「EVM」が全土で使用されています。

電子投票の課題と展望

電子投票は、投票の効率化やコスト削減、開票時間の短縮などのメリットが期待されます。しかし、システム障害や不正投票のリスク、有権者のITリテラシーの格差など、課題も存在します。

総務省の報告書では、タブレット端末などの汎用機を用いた電子投票の導入を検討することが適当であると提言されています。今後は、技術の進歩とともに、より安全で信頼性の高い電子投票システムの開発が求められます。

関連情報

総務省: 電磁的記録式投票制度について
総務省: 電子投票の実施状況

関連項目

暗号
公開鍵[[暗号]]
ゼロ知識証明
選挙
投票
押しボタン式投票
電子投票条例
地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律
国政選挙電子投票法案
2004年アメリカ合衆国大統領[[選挙]]
暗号と情報セキュリティシンポジウム (SCIS)

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