電気推進

電気推進の概要

電気推進（でんきすいしん、英語：electrically powered spacecraft propulsion）は、宇宙空間での船舶推進に使用されるロケットエンジンの別の形式です。従来の化学ロケットと異なり、電気エネルギーを活用して推力を得るのが特長です。電気推進は化学推進に比べて出力は低いものの、比推力が非常に高いという利点があります。

この技術の起源は古く、1906年にはロバート・ゴダードがその実現可能性を探るための研究を始めました。また、1911年にはロシアの科学者コンスタンチン・ツィオルコフスキーによって電気推進の概念が公表されています。

電気推進の種類

電気推進は、推進剤の加速方法によっていくつかのタイプに分類されます。主な分類は以下の通りです。

1. 静電加速型

このタイプは、推進剤を加速するために静的電場を利用し、クーロン力によって加速します。イオンを空間電位で加速するため、宇宙機が帯電しないように中和器が要求されます。具体的な例としては、以下のものがあります。

• - イオンエンジン
• - ホールスラスタ
• - コロイド推進器（電離していない金属粒子を発射する機構）

2. 電熱加速型

この形式は、電気エネルギーで推進剤を加熱し、ノズルを使用して熱エネルギーを運動エネルギーに変えることにより推力を生むものです。ノズルには固体材料を使用するものと、磁場を制御してノズルの機能を果たすものも存在します。主な種類には以下があります。

• - DCアークジェット（放電により推進剤をプラズマ化してガスを噴出）
• - レジストジェット（推進剤を電熱器でガス化して噴出）

3. 電磁加速型

電磁加速型は、ローレンツ力を用いており、電場と加速方向が異なる特性を持つ推進システムです。この方式はプラズマの性質を利用して加速するため中和器は必要ありません。代表例としては、

• - MPDアークジェットが挙げられます。

4. 複合型

複合型には、電熱加速と電磁加速の技術を融合させたものが含まれます。特にVASIMRはこの中で注目されており、高いプラズマ温度を達成可能です。

まとめ

電気推進は、将来的な宇宙探査や長期間の宇宙ミッションにおいて重要な役割を果たす技術です。様々な種類の電気推進システムは、それぞれの特徴と利点を持ち、異なる条件下での運用に適した選択肢を提供しています。今後の研究と技術開発が進むことで、さらに高効率な推進系が登場することが期待されます。

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