電気通信工事業

電気通信工事業とは

電気通信工事業は、現代社会の基盤となる情報通信ネットワークを構築する上で不可欠な役割を担う建設業です。具体的には、以下のような電気通信設備の設置工事を専門としています。

有線電気通信設備工事: 光ファイバーケーブルやメタルケーブルなどを用いた通信回線の設置工事。
無線電気通信設備工事: 携帯電話基地局や無線LANアクセスポイントなどの無線通信設備の設置工事。
ネットワーク設備工事: ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の設置工事。
情報設備工事: サーバーやストレージなどの情報処理機器の設置工事。
放送機械設備工事: テレビ放送やラジオ放送などの放送設備の設置工事。
データ通信設備工事: データセンターや専用回線などのデータ通信設備の設置工事。
情報収集設備工事: センサーネットワークや監視カメラなどの情報収集設備の設置工事。
情報表示設備工事: デジタルサイネージや大型ディスプレイなどの情報表示設備の設置工事。
* TV電波障害防除設備工事: 電波障害対策のためのアンテナやフィルターなどの設置工事。

これらの工事を通じて、私たちの生活やビジネスに欠かせない情報通信インフラを整備し、社会の発展に貢献しています。

電気通信工事の範囲

既に設置されている電気通信設備の改修、修繕、補修も電気通信工事に含まれます。これは、既存のインフラを維持し、常に最適な状態に保つために重要な作業です。しかし、保守（点検、整備、修理など） は電気通信工事には該当しません。保守は設備の機能性能や耐久性を維持するための業務であり、設置工事とは区別されます。

機械器具設置工事との区別

機械器具設置工事は、あらゆる機械器具類の設置工事を広く対象としています。そのため、電気通信設備に関わる工事も機械器具設置工事に含まれる場合があります。しかし、電気通信工事に該当するものは、原則として電気通信工事業の専門工事として扱われます。電気通信工事に該当しない特殊な機械器具や複合的な機械器具の設置が、機械器具設置工事として分類されます。

電気通信工事業の職業能力評価基準

電気通信工事業では、2010年に厚生労働省と中央職業能力開発協会が主導し、職業能力評価基準が策定されました。これは、電気通信工事業に従事する人々の能力を客観的に評価するための基準として設けられました。しかし、この基準は2021年7月時点で建設キャリアアップシステムにおける位置づけはされていません。また、登録基幹技能者制度もまだ整備されていません。

電気通信事業法における「電気通信設備の工事」

建設業法上の電気通信工事とは別に、電気通信事業法にも「電気通信設備の工事」という概念が存在します。

電気通信事業者は、事業用電気通信設備の工事、維持、運用に関して、総務省令で定められた事項を監督するために、電気通信主任技術者を選任する必要があります。この技術者は、電気通信主任技術者資格者証の交付を受けている者から選ばれます。

また、利用者が事業用電気通信設備に端末設備や自営電気通信設備を接続する際には、工事担任者に工事を行わせるか、または工事を監督させる必要があります。これは、電気通信設備の安全かつ確実な運用を確保するために重要な措置です。

電気通信工事業は、専門的な知識と技術が求められる分野であり、その業務は私たちの社会生活や経済活動を支える上で欠かせません。関連法規や制度を理解し、質の高い工事を提供することが重要です。

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