電波妨害装置

電波妨害装置の概要

電波妨害装置（でんぱぼうがいそうち）とは、Electronic Countermeasure system（ECM）としても知られ、敵の電子機器やミサイルの威力を低下させるために使用される装置の総称です。このような装置は、特に軍用航空機や戦艦で広く採用されています。以下では、航空用および地上用電波妨害装置の主な種類とその機能について詳しく説明します。

航空用電波妨害装置

アメリカ合衆国の装置

• - AN/ALQ-99: ウェスティングハウス社によって開発されたこの装置は、ベトナム戦争開始以来、1972年に実戦投入されました。これは、AN/ALQ-101の改良版であり、イスラエルやドイツでもそれぞれ、EL/L-8202とケルベロスシリーズとして発展しました。最新型はケルベロスIVです。

• - AN/ALQ-119: 1976年より生産が開始されたこの装置は、AN/ALQ-131へのアップグレードが進んでいます。モジュラー設計で、継続的に空力特性を改善しています。

• - AN/ALQ-165: ITT社とウェスティングハウス社によって開発されたこの装置は、機上自衛妨害装置で、デジタル回路を採用し、複数の脅威に同時に対処可能です。これにより、広範囲の周波数帯域にも対応しています。

• - AN/ALQ-184: レイセオン社が製造したこの装置は1982年に制式化され、デジタル回路および可動式アンテナを採用しています。

イギリス

• - スカイシャドウ: イギリス空軍でトーネードGR.1/GR.4に搭載されていたこの装置は、退役に伴い使用されなくなりました。

ソビエト連邦/ロシア

• - ソルブツィヤ: Su-27フランカーに搭載されるこの自衛妨害装置は、主翼端に取り付けられたR-73AAM用ランチャーと共存して使用されます。
• - ヒービヌイ: ロシア空軍のSu-34フルバックに搭載される他の自衛妨害装置です。

地上用電波妨害装置

ロシアの装置

• - Pole-21:これは、GPS誘導兵器に対抗するために設計されており、半径約50km範囲内でGPS信号を無効化する機能を持っています。
• - クラスハ: 空中の無線電子機器に対抗するための広帯域多機能妨害局です。
• - モスクワ: このシステムは、対空電子戦を行い、400km以上遠方の航空機や巡航ミサイルを探知し、妨害する能力を持っています。
• - ボリソグレブスク-2: レーダーや通信機能の妨害を行う電子戦装置です。2022年のウクライナ侵攻で多くの対象に使用されました。

日本の装置

• - ネットワーク電子戦システム: 陸上自衛隊が運用するこのシステムは、電波の収集・分析や相手の通信活動の妨害を行い、作戦を有利に進めるためのものです。

その他の関連装置

• - 最近では、民間の無線通信や電話の通信機能を妨害する目的の装置も存在しています。これらは特に公共の場所での使用を意図したものです。

結論

電波妨害装置は、現代の電子戦において重要な役割を担っており、戦術や防御戦略の一環として広く利用されています。その性能と進化は、敵の攻撃能力を大きく削ぐための鍵となっています。

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