電磁開閉器

電磁開閉器：電磁石の力で電路を制御する安全装置

電磁開閉器（Electromagnetic Switch、略称MS）は、電磁石の力を利用して電路を開閉する装置です。電動機の自動運転や遠隔操作など、様々な用途で用いられており、その簡便性と信頼性から、産業施設から家庭用機器まで幅広く活用されています。本稿では、電磁開閉器の仕組み、種類、用途、そして安全対策について解説します。

電磁開閉器の仕組み

電磁開閉器は、主に電磁接触器（Electromagnetic Contactor、略称MC）とサーマルリレー（Thermal Relay）の2つの主要なコンポーネントから構成されます。

電磁接触器: 電磁接触器は、電磁石の吸引力によって電極の接続状態を切り替えるスイッチです。コイルに通電すると電磁石が発生し、ばねで保持されている接点を引き寄せ、回路を閉じます。コイルの通電を停止すると、ばねの力で接点が離れ、回路が開きます。この開閉動作は高速かつ確実に行われます。

サーマルリレー: サーマルリレーは、電流値の異常上昇を検知し、過負荷から回路を保護する安全装置です。内部のヒーターとバイメタルが電流値を監視し、設定値を超えた電流が流れるとバイメタルが変形して接点を切り離し、回路を遮断します。これは、電動機などの機器を過電流から保護するために不可欠な機能です。サーマルリレーには自動復帰型と手動復帰型があり、用途に応じて適切なタイプを選択する必要があります。設定電流値は、通常モータ負荷の1.73倍以下の値に設定することで、モータの単相運転時の保護を確保します。

電磁開閉器の種類

電磁開閉器は、様々な用途に対応するため、いくつかの種類があります。

可逆式: 接点の相順を切り替えることで、電動機の回転方向を制御できます。
標準形: 電磁コイルに通電している間のみ接点が閉じているタイプです。
直流操作形: 直流電源で動作するタイプです。
ラッチ形: コイルへの通電が停止した後も接点の接続状態を保持するタイプです。接続状態の解除には、別の制御信号が必要となります。
* 高感度形: プログラマブルコントローラなどの微弱な信号でも動作させることができるタイプです。

制御対象負荷と接点の保護

電磁開閉器は、様々な負荷を制御できます。代表的なものとして、電動機、抵抗負荷（ヒーターなど）、照明器具、コンデンサなどがあります。

特に直流モーターやソレノイドなどの誘導性負荷を制御する際には、回路遮断時に自己誘導作用による高電圧の逆起電圧が発生します。この逆起電圧は、電磁開閉器の接点にダメージを与え、寿命を縮める可能性があります。そのため、バリスタ、PNダイオード、CR回路などを用いて逆起電圧を抑制する対策が必要です。また、メーカーから供給されているサージ吸収器を使用することも有効な対策となります。

まとめ

電磁開閉器は、電磁石の力を利用した安全で信頼性の高い開閉器です。その多様な種類と機能により、様々な用途で活用され、産業の自動化や省力化に貢献しています。適切な機種選定と安全対策を講じることで、より安全で効率的なシステム構築が可能になります。電磁開閉器を使用する際には、取扱説明書をよく読んで正しく使用し、定期的な点検を行うことが重要です。

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