電脳炎

電脳炎について

『電脳炎』は、唐沢なをきによるギャグ4コマ漫画で、1997年から2007年まで小学館の「ビッグコミックオリジナル」で連載されていました。本作は、ITやパソコンといった現代社会の様々な側面を風刺し、登場人物たちのコミカルな日常を描いています。

連載の経緯

この漫画は、1997年5月号の『ビッグコミックオリジナル増刊』にて初めて読み切りとして掲載され、その後、同年の6月20日号から本格的に連載がスタートしました。連載は約10年間にわたり、2007年8月に最終回を迎えました。作品の内容は、当時のパソコンやITに関連するニュースや話題を反映し、それにまつわる人々のさまざまな姿を描写しています。

ストーリーと特徴

『電脳炎』には、パソコンを好む人々や苦手とする人々、それに振り回されるキャラクターたちのエピソードが登場します。特に、パソコンが嫌いで、急速に進化するデジタル社会に戸惑う課長が主な登場人物として描かれています。課長の姿を通じて、パソコンに対する嫌悪感や、電子化の波にさらされる人間模様をコミカルに表現しています。

加えて、「OA仮面」というキャラクターも登場します。 OA仮面は、ハイテク社会で傲慢になった人々に鉄槌を下す怪人であり、彼の登場によってストーリーにさらなるスリルが加わっています。「OA」とは「オフィス・オートメーション」の略で、連載当時に流行していたキーワードです。

受賞歴と評価

この作品は、2000年に第46回文藝春秋漫画賞を受賞した際、選考委員から「パソコンのことが分からない人には、その面白さが理解できない」と評される一方で、受賞の栄誉を得ました。この評価は、作品が持つ特異な視点や独特のユーモアを象徴するものとも言えます。

単行本とその特性

単行本は、初期の3巻まで「ウィン版」と「マック版」という異なる形式で刊行されました。巻末にはそれぞれ異なる内容のパソコンに関するコラムが収められており、漫画本編は同一ですが、読者は自分の好みに合わせて選ぶことができました。第4巻以降は「ハイブリッド版」として簡素化され、単一形式での刊行となりました。

また、全体的に4コマ漫画という形式に基づいているため、一般的な漫画本よりも細長い新書サイズで刊行されています。これまでに第6巻までが発売されていましたが、その後の続刊は中断されています。

商品情報

個々の巻の情報としては、1999年から2005年にかけてウィン版とマック版がそれぞれ販売されました。各巻には異なるISBN番号が付されています。

ウィン版 ISBN 4091857965
マック版 ISBN 4091857914
ウィン版 ISBN 4091857973
マック版 ISBN 4091857922
ウィン版 ISBN 4091857981
マック版 ISBN 4091857930
2003年 ISBN 4091857949
2004年 ISBN 4091857957
* 2005年 ISBN 409185799X

まとめ

『電脳炎』は、現代社会におけるデジタル技術の進化をユーモラスに描き出しつつ、その波に翻弄される人々の姿を通じて、読者にさまざまな視点で考えさせる作品です。ギャグを交えた描写が、当時の時代や社会を反映しているのも魅力の一つと言えるでしょう。

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