震天 (エンジン)

震天とその姉妹エンジンについて

はじめに

震天は、1930年代に三菱航空機により開発された日本海軍向けの航空機用エンジンです。このエンジンは、海軍の主導によって開発が進められ、主に空冷星型の14気筒エンジンとして名を馳せました。海軍略符号はMK1Aとされ、社内ではA6や震天改という呼称でも知られています。その性能や歴史を知ることで、当時の日本の航空技術がどのようなものであったかを理解する手助けとなるでしょう。

震天（A6）について

震天の開発は1933年の1月に開始され、最大出力920馬力を目指しました。最初の試作機は1934年8月に完成し、その革新的なデザインが注目を集めました。震天は、海軍の九試中型飛行艇に搭載されることが決定し、震天二一型として知られるモデルが採用されましたが、残念ながら1939年には製造が打ち切られ、戦局の変化に対応できぬままその幕を閉じました。

ハ6（A7）について

一方、陸軍向けには社内呼称A7、通称ハ6というエンジンが開発されました。こちらも1933年の2月に開発が開始され、最大出力800馬力を目指しました。ハ6の1号機は1934年5月に完成し、その後1936年に登場するキ21重爆撃機に搭載されることが期待されました。しかし、他の競争相手である中島のキ19やハ5との競争の結果、最終的にはキ21にハ5が採用され、ハ6は実戦に投入されることはありませんでした。

生産数について

震天及びハ6のエンジンに関する資料は三菱社内でも少なく、実際の生産数は正確にはわからないものの、両型を合わせて約119基が製造されたと推定されています。この数字は、当時の航空機技術の進歩における一つの指標とも言えます。

主要諸元

震天21型（A6-FS2）の主要な仕様は以下の通りです。

• - 形式: 空冷星型14気筒
• - 気筒径×行程: 140mm×170mm
• - 排気量: 36.7L
• - 全長: 1,718mm
• - 全幅: 1,309mm
• - 乾燥重量: 602kg
• - 離昇馬力: 1,200HP / 2,360RPM
• - 公称馬力:

- 950HP / 2,250RPM（地上）
- 1,200HP / 2,250RPM（高度850m）
- 1,020HP / 2,250RPM（高度1,950m）

結論

震天とその姉妹エンジンハ6は、日本の航空技術の中でも特異な位置を占めています。両者はそれぞれ異なる軍に向けて開発されたにもかかわらず、技術的な進歩や戦略的な決断により、実際に使用されることはありませんでした。それでも、これらのエンジンの歴史を振り返ることは、当時の技術的挑戦を理解する上で重要な要素となります。参考文献には松岡久光氏や中西正義氏の著作があり、詳しい情報が提供されています。

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