震天制空隊

震天制空隊の概要

震天制空隊（しんてんせいくうたい）は、第二次世界大戦の末期に大日本帝国陸軍が設立した特別攻撃隊の一つです。この隊は主に高高度での空対空の戦闘を目的としており、特にアメリカの高性能な爆撃機B-29に対抗するための手段として編成されました。本記事では、震天制空隊の歴史や編成、戦術などについて詳しく説明します。

編成の背景

1944年11月7日、アメリカ陸軍航空軍による日本本土の空襲が激化する中、陸軍は苦肉の策として特攻隊の設立を決定します。第10航空師団が指揮を執り、各飛行戦隊に対し、B-29に体当たりを行う特攻隊を編成するよう命じられました。この隊は「震天制空隊」と名付けられ、特に日本本土の防空を強化するために重要な役割を担いました。

震天隊と回天隊

震天制空隊は、主に東部軍管区の第10飛行師団に所属し、空対空特攻隊の一環として活動しました。一方で、同時期に西部軍管区に属する第12飛行師団には「回天隊」と呼ばれる別の特攻隊が存在しました。これらの特攻隊は、各飛行師団ごとに異なる名称で呼称され、同様の目的を持ちながらも若干の違いがありました。

空対艦特攻との相違点

空対艦特攻隊とは異なり、空対空特攻では、操縦者が機体との衝突後に脱出し、落下傘での降下または偶然の脱出が期待されました。そのため、操縦者の生還は必ずしも不可能ではなく、実際に体当たりを数回行いながらも生還した事例もありました。これは戦闘機操縦者が非常に貴重な存在であったため、生還が求められたことが影響しています。

構成と機体

震天制空隊は、各飛行戦隊内で4機1組の特攻隊として編成されました。使用される機体の大半は、既に使用された中古機であり、軽量化のために航空機関砲などの装備を撤去し、「無抵抗機」として用いられました。この構成は、機体性能を向上させるためだけでなく、貴重な資源を無駄にしないためでもありました。また、特攻隊員の士気を高めるために、機体には特別な塗装やマークが施されました。

戦果と課題

震天制空隊は、時折成功を収めることもありました。特に一度の体当たりで2機のB-29を撃墜することに成功した例もありましたが、全体としての戦果は期待されたほどのものではありませんでした。B-29の防御火器の威力や速度、操縦技術の差により、特攻機がB-29に接近することは難しく、多くの場合、特攻機は墜落または空中分解する結果となりました。また、B-29の護衛戦闘機により、無抵抗機はますます危険な存在となり、次第に攻撃は行われなくなっていきました。

結論

震天制空隊は、日本本土防空の重要な役割を果たした部隊でしたが、戦術や技術の限界から大きな戦果の獲得には至りませんでした。特攻作戦は、戦局が厳しくなる中での苦肉の策であり、その歴史は日本の航空戦の一部として語り継がれています。

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