露土戦争 (1686年-1700年)

露土戦争について

露土戦争は、1686年から1700年までの期間に、ロシアとオスマン帝国の間で繰り広げられた戦争を指します。この戦争は、大トルコ戦争の一部であり、オーストリア、ポーランド、ヴェネツィア、ロシアの神聖同盟がオスマン帝国に対抗するために結成された背景があります。特にロシアは、1686年に神聖同盟に加わり、戦闘に参加することとなります。

背景

大トルコ戦争において、神聖同盟の一員であるポーランド国王は、非カトリックであるロシアの参加を求めました。この結果、ロシアは神聖同盟に加盟し、大トルコ戦争に参戦します。ロシアは、ポーランドとの戦争を通じて占領中の領土を返還する約束をしていましたが、この約束を果たす意向はありませんでした。そのため、ポーランド国王はロシアとの平和条約を結び、ロシアの支配を認めさせることになりました。

当時のロシアは、イヴァン5世と兄弟のピョートル1世の共同統治下にありましたが、実権はイヴァン5世の姉、ソフィアが握っていました。

戦闘の経過

戦争初期、ロシアはゴリツィンの指導でクリミアへ遠征を行いましたが、補給不足といった問題が発生し、二度の遠征はいずれも失敗に終わります。しかし、モスクワでは勝利を祝う祝賀会が開かれるなど、情報は誇張されました。

1689年には、ピョートル1世が結婚したことで独立した大人としての立場を確立し、摂政ソフィアの権威が揺らぎ始めます。彼女は更なるクリミア遠征を命じましたが、これも失敗に終わり、最終的にはピョートル1世の支持を受けた軍隊によりソフィアは失脚へと追いやられ、国政の実権はピョートル1世に移譲されます。

アゾフ遠征と海軍の設立

ピョートル1世は南下政策を進め、1695年にアゾフに対する遠征を行いましたが、最初の試みは失敗に終わります。しかし、彼は海軍を設立し、翌年に再度アゾフへ攻撃を行い、今度は成功を収めます。これにより、ロシアは黒海への進出の土台を築きます。アゾフの占領により、ロシアはクリミア・ハン国の影響力を大きく削減することに成功しました。

戦争の終結とその後

ピョートル1世はアゾフの占領を契機にさらなる領土拡張を目指しましたが、1699年には他の神聖同盟諸国との講和条約が結ばれてもこれを受け入れず、1700年に個別にコンスタンティノープル条約を締結しました。この条約により、ロシアはアゾフ城の領有を正式に認められ、戦争は終了しました。

露土戦争は、ロシアの南下政策の礎を築き、以後の歴史に大きな影響を与える結果となりました。

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