大トルコ戦争

大トルコ戦争の詳細

大トルコ戦争（1683年 - 1699年）は、ハンガリーやトランシルヴァニアを巡って神聖同盟に属するオーストリア、ポーランド、ヴェネツィア、ロシアとオスマン帝国との間で繰り広げられた戦争です。この戦争は、オーストリアが再興のきっかけを作り、オスマン帝国が衰退に向かう重要な転機となりました。1699年に締結されたカルロヴィッツ条約により、その結果は大きな影響を持ちました。

戦争の名称

この戦争は、日本語を含む多くの国々では「大トルコ戦争」として知られていますが、トルコをはじめとする一部の国々では「オスマン・神聖同盟戦争」や「オーストリア・トルコ戦争」という別名でも呼ばれています。これらの名称は、それぞれの国における戦争の見方や関与の仕方を反映しています。

戦闘の経過

ウィーン包囲戦前後

オーストリアとオスマン帝国の対立は、三十年戦争後から続いていました。1664年、オスマン帝国がハンガリーに侵攻すると、オーストリアの将軍ライモンド・モンテクッコリがザンクトゴットハールドの戦いで勝利しましたが、フランスのルイ14世が領土拡大を狙っていたため、オーストリアは戦況に積極的に関与できませんでした。この結果、ハプスブルク家は不利な和平を結ぶことになり、反ハプスブルク派の勢力が増すことになりました。

1683年、オスマン帝国の大宰相カラ・ムスタファ・パシャが、テケリ・イムレの要請を受けてウィーンを再び包囲。ウィーン包囲戦は神聖ローマ皇帝レオポルト1世の呼びかけに応じた連合軍の急襲により失敗し、カラ・ムスタファは処刑されました。この出来事は、オスマン帝国にとって大きな痛手となりました。

バルカン半島への侵攻

オーストリアは、ロレーヌ公シャルル5世を総大将に据え、1684年にローマ教皇の提唱で神聖同盟を結成し、ハンガリーに進軍しました。参加国にはポーランドやヴェネツィアがあり、遠征軍は十字軍の様相を呈しました。初めはブダを包囲しましたが、成功せず、ペストを占領するにとどまりました。しかし、1686年にはブダを奪還し、モハーチの戦いでも勝利を収め、ハンガリーの大半を掌握しました。

この戦闘の間、ヴェネツィアはアドリア海に艦隊を派遣し、ギリシャを進軍。ロシアは1686年に神聖同盟に参加し、クリミア・ハン国への攻撃を行いましたが、いずれも失敗に終わりました。

戦後の影響

1699年、カルロヴィッツ条約により、オーストリアはハンガリーとトランシルヴァニアを獲得しました。これによってハプスブルク家は東欧での影響力を強化し、新たな大国としての道を歩み始めました。しかし、この時代のオーストリアはまだ貴族や聖職者の権力が強く、絶対主義的な体制には至っていませんでした。

一方、オスマン帝国はこの敗北によってその衰退が明らかになり、改革を試みるものの、内部からの反発に遭い、成功を収めることができませんでした。戦争は、ヨーロッパにおける勢力図を大きく変え、後の大北方戦争やその他の戦闘に影響を与えました。

この戦争の参加者たちは、後のスペイン継承戦争でも指揮官として活躍し、新たな軍事的・政治的展開をもたらしました。特にオイゲン公はその後の戦争で重要な指揮官となることが運命づけられていました。

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