青の光

映画『青の光』（Das blaue Licht）について

『青の光』は1932年にドイツで制作された白黒映画で、脚本と監督はレニ・リーフェンシュタールとバラージュ・ベーラによるものです。主演はリーフェンシュタール自身が演じるユンタという少女で、彼女は独特なキャラクターとして描かれています。この映画の撮影はスイスのティチーノ州と、イタリアのサレンティーノで行われ、美しい自然がそのまま映し出されています。

あらすじ

物語は、村の外れで孤独に暮らす少女ユンタが中心に展開します。彼女は周囲から魔女として恐れられており、村人たちは彼女に対する偏見を抱いています。何故なら、村の若者たちが満月の夜に、地元の山に登り、次々と転落死を遂げているためです。ユンタは、静寂に包まれた山の風景の中で唯一の友、羊飼いの少年と過ごすことが唯一の救いとなっています。

ユンタは自然の中で自由に過ごせることを喜びながらも、彼女が目にする神秘的な光景についてあまり知られることはありません。特に満月の日に、美しい水晶で満たされた洞窟から差し込む青い光は、彼女にとって聖なる場所となります。しかし、この美しさは村人たちを惹きつける一方で、決して到達できない運命となるのです。

そんな中、画家の男性が村にやって来て、ユンタに心を奪われます。彼は彼女と接触し、互いに異なる言葉を話しながらも徐々に交流を深めていきます。二人の関係は純粋で美しいものですが、次の満月の夜、男性がその後を追い、ユンタが青い光に満ちた洞窟で恍惚となっている姿を目撃します。

予期せぬ展開

この洞窟の水晶には莫大な富をもたらす可能性があると考えた男性は、すぐに村に戻り、村人たちにこのことを伝えます。しかし、その行動がユンタにどのような影響を与えるのかを予想していなかったのです。翌日、ユンタは道具や水晶が村へ続く道に落ちていることに気が付きますが、もう手遅れでした。村人たちは洞窟を見つけ、すべての水晶を持ち去ってしまい、ユンタは自らの聖域を冒涜されたことに深い悲しみを抱きます。

ユンタの悲劇

村人たちは水晶を手に入れ、喜びの祝宴を開きますが、ユンタはその様子を見て、失意の中に沈むことに。彼女は自らを裏切った人々と、彼女が大切にしていた場所の冒涜に耐えきれず、 despair に包まれて身を投げてしまいます。この結末は、悲劇的でありながらも人間の欲望と裏切りを鋭く描写しています。

制作の背景と評価

『青の光』は公開後、商業的にも批評的にも成功を収めました。特にパリやロンドンでは好評を博しましたが、ドイツ国内では意見が分かれました。左派のメディアは批判的な評価を下した一方、右派の出版物は賛辞を送りました。また、映画は自然描写の美しさが特にアドルフ・ヒトラーの関心を惹くこととなり、その後リーフェンシュタールはプロパガンダ映画の制作を任されることになりました。

再編集版と後の影響

1937年には、当時の政治的背景を受け、再編集版が発表されました。また、1951年には新たに編集された版が発表された。この映画はリーフェンシュタールの映画としての美学が際立つものであり、数多くの人々にインスピレーションを与え続けています。

『青の光』は、ただの映画としてだけでなく、リーフェンシュタールの芸術的な視点と人間の葛藤を描き出す作品として評価されるべきものでしょう。

もう一度検索