青山脳病院

青山脳病院の歴史

青山脳病院は、東京都青山に位置した精神科病院で、その歴史は1907年に始まりました。当初、この病院はローマ式の壮麗な建築スタイルが特徴で、地元の名所として広く知られていました。斎藤茂吉医師が院長を務めていたこともあり、その名は多くの人々に記憶されています。

前史

青山脳病院の歴史のルーツは、1891年に医師の斎藤紀一が開設した「浅草医院」にさかのぼります。その後、紀一は1899年に神田に「東都病院」を設立し、1903年にはその名称を「帝国脳病院」に変更しました。そして青山に新たな病院を建設する計画が始まりました。

開院

青山脳病院は1907年9月に開院しました。敷地は約4,500坪で、外観は円柱が並び、屋根には尖塔が立つ魅力的なデザインでした。また、赤レンガを多用した建物は、開院当時に周囲の野原の中で特異な存在感を放ち、多くの訪問者を惹きつけました。

失火と再建

残念なことに、1924年12月29日に起きた火災によって病院は全焼し、20名の患者が命を落としました。この火災は紀一にとって財政的打撃となり、さらに近隣住民の反対もあって、青山での再建は困難を極めました。そこで、紀一は1925年に松澤村へ移転を決定し、青山には小規模な脳外科の診療所が設けられました。これにより、松原に新たな本院が開業しました。

移転後の本院

松澤村の新病院は、1926年に正式に開業し、周囲は一面の麦畑に囲まれた静かな環境にありました。精神病患者を300名以上収容できる8つの病棟を有していましたが、入院患者による問題が発生し、紀一は院長職を斎藤茂吉に引き継ぐことになります。

戦争およびその後

第二次世界大戦中の1942年、再び火災が発生し、これにより施設が損傷を受けました。その後、茂吉は戦況の厳しさを感じ、病院を東京都に移譲しました。1945年5月には、アメリカ軍の空襲により梅ヶ丘分院が全焼する悲劇が続きました。

分院の歴史

青山の焼失後には仮診療所を設置しつつ、1929年に診療所が新たに建設されました。この診療所は当初、精神病院としての機能を持たず、脳神経科を名乗っていましたが、1945年の空襲で全焼し、再び歴史の波に飲まれることとなります。

跡地と後継医院

現在、青山脳病院の跡地はマンションとして整備されており、斎藤茂吉の歌碑がその名残を物語っています。また、青山脳病院の精神の流れを受け継ぐ「斎藤病院」が東京都府中市に存在し、今なお地域に貢献し続けています。

このように、青山脳病院は長い歴史の中で多くの人々の記憶に刻まれており、その影響は今なお続いています。

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