青島要塞爆撃命令

青島要塞爆撃命令

『青島要塞爆撃命令』（チンタオようさいばくげきめいれい）は、1963年5月29日に公開された東宝のカラー戦争映画です。これはまれに見る日本映画で、第一次世界大戦をテーマにしています。物語は、青島の戦い（日独戦争）を舞台にしており、日本初の海軍航空隊がドイツ帝国軍に立ち向かう姿が描かれています。

この映画は、従来の戦争映画とは異なり、悲劇性が抑えられていて、むしろスパイ活劇としての要素が強調されています。監督の古澤憲吾と特技監督の円谷英二が初めて手を組んだ作品でもあり、後に『大冒険』を共に制作することになります。

あらすじ

物語は、第一次世界大戦が勃発してから49年後、極東にもその影響が及び始めるところから始まります。ドイツが中国の膠州湾を租借地として青島をアジアへの進出の拠点として利用しているため、日本は連合国側としての参戦を余儀なくされます。日本海軍は連合艦隊の支援を受けて青島攻略に挑むものの、ビスマルク要塞に設置された巨大砲台に対抗するのは容易ではありませんでした。

その中で、連合艦隊の加藤定吉長官は、まだ発展途上の海軍航空隊に光を当てます。追浜海軍航空術研究所に駐屯していたその部隊は、わずか5名のパイロットと2機のファルマン水上機からなるものでしたが、大杉少佐は彼らを率いて青島に向かう決意を固めます。その輸送艦・若宮丸は、世界初の航空母艦として甲板に複葉機を載せ、青島攻略へ向かいます。

ついに出撃の時が来ると、大杉と国井は未装填の爆弾の代わりに煉瓦や五寸釘を搭載して、壮絶な冒険の幕が開きます。彼らは敵の上空で情報を収集しようとしますが、ドイツのタウベ機が襲来し、周囲は緊迫した状況に包まれます。

次第に物語は盛り上がり、信頼される仲間が増えていく中で、スパイや裏切りといった陰謀も絡む複雑な展開が待ち受けています。特に、島民たちとの間に生じるトラブルや、意外な敵の正体が明らかになる様子は見逃せません。真木と二宮は捕虜となり、助けられた白麗は彼らと共に逃げ出すというスリリングなシーンもあります。

長官の判断が変わり、飛行機の使用を早急にあきらめるのもまた映画の重要なポイントです。物語が進むにつれ、彼らが置かれた厳しい状況とそれに立ち向かう仲間たちの奮闘は、観客に勇敢さや友情の大切さを印象づけます。

特技監督および制作の舞台裏

撮影には特技監督の円谷英二の技術が大いに活かされています。作品には現実的な軍艦のミニチュアや特殊効果が多数使用され、映画にリアリティを与えています。特に、モ式ロ号水上機やドイツ機のモデルは、細部まで精巧に作られており、撮影は富士山のヘリコプターによって行われました。

フィルムには、豪華で手の込んだ演出や独特な特撮技術が詰め込まれ、見る者を魅了します。そして、耳に残る音楽や緊迫感のある編集が相まって、観客が引き込まれる力強いストーリーが織り成されました。この映画は現代においても特撮映画の重要な作品として語り継がれています。

まとめ

『青島要塞爆撃命令』は、戦争映画の枠を超えてスパイ活劇としての側面や、独特の演出で観客を魅了する作品です。同映画の成功は、制作チームの情熱と技術によるものであり、今日でも多くの映画ファンに愛されています。

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