青年トルコ人

青年トルコ人とは

青年トルコ人は、19世紀末から20世紀初頭のオスマン帝国において、アブデュルハミト2世の専制政治を打破し、ミドハト憲法に基づく憲政の復活を目指す運動を展開した活動家たちを指す言葉です。この運動は、オスマン帝国の近代化改革の中で育まれた学生や官僚、将校などの新しい階層に属する青年たちによって推進されました。彼らは、1908年に発生した青年トルコ人革命の主要な担い手となり、以降はオスマン帝国の政治の中心で活躍しました。この時代は「青年トルコ時代」として知られ、1923年のトルコ共和国成立後も、その政治エリートの多くはかつての青年トルコ人活動家でした。

名称の由来と範囲

「青年トルコ人」という名称は、活動家たちが英語で「Young Turks」、フランス語で「Jeunes Turcs」と呼ばれたことに起因しています。トルコ語では「Genç Türkler」または「Jöntürkler」と表現され、意味は同様です。この名称は他称であり、特に亡命者が多く住んでいたフランスで、イタリアの青年イタリア運動に倣って呼ばれるようになりました。

興味深いことに、「トルコ人」という言葉は、おおむねオスマン帝国のエリートを指していましたが、実際にはアルバニア人やクルド人、アラブ人など、様々な民族が参加していました。これはオスマン帝国の多民族性を反映しています。この青年トルコ人たちの中には、複数の政治グループが存在し、彼らを一括して指す組織名はありませんでした。

歴史的背景

1897年、アブデュルハミト2世がオスマン帝国憲法を停止し、下院を閉鎖しました。この事態に対抗するため、憲政復活を求める動きが生まれましたが、厳しい抑圧によってその活動は困難でした。1889年、イスタンブールで「オスマンの統一」という秘密結社が設立され、これが青年トルコ人運動の始まりです。創設者の中にはアルバニア人やクルド人が含まれており、国の変革を目指しました。その後、国外に逃れた活動家たちが集まり、「統一と進歩委員会」を設立しました。

1902年、活動が散逸している中、プレンス・サバハッティンが青年トルコ人の再統一を呼びかけましたが、意見の不一致から結論には至りませんでした。さらに、日本の勝利が青年トルコ人に影響を与え、西洋の価値観に対する希望として受け止められました。きっかけは日露戦争で、日本軍が勝利を収めたことに由来し、政権打破への動機を高めました。

1905年頃からオスマン自由委員会の活動が復活し、1908年には武装蜂起へとつながります。この時、サロニカでの青年将校の参加が重要な役割を果たし、青年トルコ人革命が成功を収めました。これによりオスマン帝国の政治情勢は大きく揺らぎ、青年トルコ人は新たな時代を迎えることとなりました。

結論

青年トルコ人の運動は、単に一地域に限定されたものではなく、オスマン帝国の様々な民族・階層が参加し、共に憲政の復活を目指した多様な運動でした。彼らの影響は、オスマン帝国が崩壊した後のトルコ共和国の形成にも大きく寄与しました。最近のトルコ近代史研究では、この時代が重要な歴史的転換点であったことが広く認識されつつあります。

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