青春は欲望のカタマリだ!

FLYING KIDS 3rdアルバム『青春は欲望のカタマリだ！』：青春のエネルギーと音楽性の幅広さが凝縮された作品

1991年10月21日、ビクター音楽産業よりリリースされたFLYING KIDSの3枚目のアルバム『青春は欲望のカタマリだ！』は、前作から約10ヶ月ぶりのリリースであり、5枚目のシングル『君だけに愛を』と同時発売という、バンドにとって大きな転換期を象徴する作品と言えるでしょう。

このアルバムは、青春時代の高揚感、葛藤、そして希望といった感情が、FLYING KIDS独特のサウンドを通して表現されています。全11曲は、メンバーそれぞれが作曲に携わり、バラエティに富んだ楽曲群となっています。疾走感あふれるロックナンバーから、しっとりとしたバラードまで、FLYING KIDSの音楽性の幅広さが存分に堪能できます。

特に注目すべきは、タイトル曲『欲望のカタマリ』です。この曲は、若者の内に秘めたエネルギーと、未来への希望を力強く表現しており、アルバム全体のテーマを象徴するような存在感を放っています。また、『君だけに愛を』は、ザ・タイガースのカバーで、FLYING KIDSによる新たな解釈が加えられています。オリジナルとは異なるアレンジによって、FLYING KIDS独特のサウンドで聴くことができる点が魅力的です。

その他にも、『朝日を背にうけて』、『明日への力』、『木馬（あたたかな君と僕）』『お別れのあいさつ』、『この世の楽しみ』、『野生のハマザキ』、『小さな私』、『一日の終り』といった楽曲が収録されており、それぞれの曲が異なる魅力を持ち、アルバム全体に奥行きを与えています。

編曲面では、FLYING KIDSのメンバーに加え、小林正弘氏（Brass Arrange）、金子飛鳥氏（Strings Arrange）といった実力派ミュージシャンが参加しており、楽曲に深みと彩りを添えています。

歌詞は主に浜崎貴司氏が担当していますが、『君だけに愛を』は橋本淳氏、『小さな私』は浜谷淳子氏が作詞を担当しています。作曲者も複数おり、浜崎貴司氏、中園浩之氏、伏島和雄氏、飯野竜彦氏、丸山史朗氏、加藤英彦氏と、多様な音楽性が融合した作品となっています。

『野生のハマザキ』という楽曲は、歌詞カードでは「野生の～」と表記されている一方、ジャケット裏では「野性の～」と表記されているという、ちょっとした違いも見られます。こうした細部にもこだわりが感じられる点が、このアルバムの魅力の一つと言えるでしょう。

『青春は欲望のカタマリだ！』は、単なる音楽作品というだけでなく、1990年代前半の日本の音楽シーン、そしてFLYING KIDSというバンドの歴史において重要な位置を占める作品です。彼らの若々しいエネルギーと音楽性の高さが凝縮された、まさに必聴のアルバムと言えるでしょう。

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