青木やよひ

青木やよひ

青木やよひ（1927年6月13日 - 2009年11月25日）は、日本の思想界に多大な影響を与えたノンフィクション作家、音楽評論家、そして女性論評論家です。彼女の活動は多岐にわたり、社会における女性の地位向上、音楽を通じた人間理解、そしてエコロジーとフェミニズムの融合といったテーマを探求しました。

生涯と業績

静岡県に生まれた青木は、東京薬学専門学校（現在の東京薬科大学）を卒業後、出版社に勤務。『ロマン・ロラン全集』（みすず書房）の編集に携わる中で、片山敏彦の知遇を得て、文筆活動を本格的にスタートさせました。

1970年代以降は、大学や市民講座で女性学の講義を担当しながら、ベートーヴェンの研究にも情熱を注ぎました。音楽、特にベートーヴェンの作品を通して、人間の感情や社会構造に迫ろうとしたのです。1983年前後には、エコロジカル・フェミニズムを提唱し、上野千鶴子との間で活発な論争を繰り広げ、フェミニズムの新たな地平を切り開こうとしました。

晩年は、ベートーヴェンに関する著述に集中し、彼の生涯や作品に込められたメッセージを深く掘り下げました。夫は、同じく思想家である北沢方邦です。

著書

青木やよひは、生涯にわたり数多くの著作を発表しました。以下に代表的なものを挙げます。

『愛の伝説 恋人としての芸術家と女たち』
『ホピの国 砂漠のインディアンを訪ねて』
『子供をゆがめるのは何か』
『女性・その性の神話』
『性差の文化 比較論の試み』
『フェミニズムとエコロジー』
『母性とは何か 新しい知と科学の視点から』
『女が自由を生きるとき 感性からのフェミニズム』
『シングル感覚 新しい女たちの選択』
『遥かなる恋人に ベートーヴェン・愛の軌跡』
『やさしい関係 共生感覚の時代へ』
『ちょっと変じゃない? 「女らしさ」「男らしさ」ってなんだろう』
『ホピ・精霊たちの台地 アメリカ・インディアンからのメッセージ』
『共生時代のフェミニズム ひらかれた未来をもとめて』
『ボヘミア・ベートーヴェン紀行 <不滅の恋人>の謎を追って』
『ベートーヴェン<不滅の恋人>の謎を解く』
『ゲーテとベートーヴェン 巨匠たちの知られざる友情』
『ベートーヴェンの生涯』（遺著）

これらの著作は、彼女の多角的な視点と深い洞察力を示しており、現代社会における様々な問題に対する示唆に富んでいます。

影響

青木やよひの思想は、単なる女性解放運動にとどまらず、人間と自然、社会と個人の調和を求めるものでした。彼女の著作や講演は、多くの人々に勇気と希望を与え、社会変革の原動力となりました。晩年のベートーヴェン研究は、音楽を通して人間の普遍的な感情や価値観を探求するものであり、文化的な貢献も大きいと言えるでしょう。

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