青木氏 (近江国)

青木氏の歴史とその系譜

青木氏は室町時代から江戸時代にかけて存在した武士の一族で、甲賀五十三家の一員として知られています。この一族は、特に石部三郷の支配に関連しており、青木岩崎、青木南、青木上田、青木石部の四家に分かれていました。

伝えられる文書とその概要

青木氏の歴史は『青木八郎右衛門家文書』に記載されており、多羅尾四郎兵衛や高山源太左衛門といった他の家系と共に青木筑後の名前が残されています。文書に見られる多くの名前は、1547年から1584年にかけての取引や戦闘において重要な役割を果たしたことを示しています。

特に、永禄元年（1558年）8月3日付の文書には、青木石部正□や青木岩崎左衛門尉の名が記されており、戦国時代の動乱の中で彼らが果たした役割が窺えます。また、青木伊豆守の弟である権六は正福寺村を拠点にしており、彼が1562年に三河国の徳川家康の下に出陣したことも記録されています。

天正12年（1584年）には、青木又左衛門と力千代の名前が含まれる売券が存在し、彼らもまた青木氏の面々であったことが判明します。滋賀県湖南市に所在する真明寺には、青木岩崎の子息が1597年に創建したという資料があり、青木氏の歴史的遺産の一環として重要視されています。

青木氏の系譜と関連性

青木氏についての記録は『近江輿地志略』にもあり、青木右衛門佐の元の屋敷跡であることが示されています。この右衛門佐は信長の家臣である紀伊守一矩と関連しているとされています。また、青木氏は上山氏の末裔としての背景も持っており、上山新八郎の名前が文書に載っています。

太田亮による研究では、丹波国の青木久政が同族であるとされ、佐々木源氏に起源を持つことが示唆されています。『寛政重修諸家譜』によれば、青木伊豆守義勝についても言及されており、彼は丹治姓青木氏出身であることが伝えられています。

青木氏にまつわる伝承と他の家系

青木氏に関連した話は多く、特に女性の系譜も興味深いものです。例えば、蒲生高郷に嫁いだ青木氏の女性は青木梵純を母に持つ子孫で、青木忠英流の青木氏がその末裔を称しています。また、蒲生氏の家臣に青木少兵衛の名も見られ、家系の広がりを伺わせます。

昭養寺に伝わる記録にでは、源義光の子孫である青木下野守が応仁3年（1469年）に建立した寺が紹介されており、彼が足利義尚に仕えたことがも伝承等で伝えられています。さらに、青木以栄の末裔である青木氏は、代々地下官人としてその地位を保っていました。

結論

青木氏は、甲賀五十三家の歴史を担う一族で、多くの文書や伝承に姿を見せています。その系譜や家系の広がりは、歴史的な背景を考える上でも非常に重要な要素です。青木氏の活動は、単なる一族の歴史に留まらず、戦国時代から江戸時代にかけての日本の武士社会の広がりを象徴するものでもあります。

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