青森県営サッカースタジアム

青森県営サッカースタジアム建設計画の顛末：幻に終わったスタジアム

青森県営サッカースタジアムは、2002年のワールドカップ開催に向けて青森県が青森市郊外に建設を予定していたサッカー専用スタジアムでした。しかし、様々な要因が重なり、最終的に建設は実現しませんでした。ここでは、その計画がどのように始まり、頓挫していったのか、その経緯を詳細に解説します。

ワールドカップ招致への動きとスタジアム計画の浮上

1992年1月、青森市長がワールドカップ開催地への立候補を表明したことが、この計画の始まりでした。市長から県知事へ協力依頼が出され、青森県総合運動公園の拡張整備計画の一環として、サッカースタジアムの建設が検討されるようになります。同年6月には青森市議会、青森県議会でそれぞれ招致決議が可決され、招致活動が本格化しました。

当初、青森県は日本招致委員会に対し、サッカー専用スタジアムとしての計画を提出していました。しかし、1993年6月には複合スタジアムへと変更する方針を打ち出します。この変更に対し、当時の日本サッカー協会理事長であった川淵三郎氏は、専用スタジアムであればJリーグの公式試合などを開催する義務感が生じるが、複合スタジアムであればそれもやむを得ないとコメントしました。県はワールドカップ期間中は専用スタジアムとして使用し、その後は複合スタジアムとする構想を描いていましたが、日本招致委員会からは恒久的なサッカー専用スタジアムでないと受け入れられないという見解が示されました。

市民団体からは専用スタジアム建設を求める署名が提出されるなど、建設を求める声も高まりました。1994年には、日本招致委員会からスタジアム整備の重要性が指摘され、青森県は再び専用スタジアム建設へと方針を転換しました。

建設地の選定難航と計画の頓挫

当初、スタジアムの建設地として検討されたのは、三内丸山遺跡に隣接する県営野球場の建設予定地でした。しかし、その後の発掘調査で三内丸山遺跡が大規模な遺跡であることが判明し、野球場の建設は中止、サッカー場の建設予定地も保存されることになりました。その後、新たな建設地として複数の候補地が検討されましたが、最終的には新城地区が最適であるという判断が下されました。

しかし、1995年2月に木村守男知事が就任すると、スタジアムの建設予定地が見直されることになります。新城地区の土地所有者との関係が問題視され、県議会での予算案が否決されるなど、計画は暗礁に乗り上げました。その後、五戸町や浪岡町、五所川原市などから誘致の動きがありましたが、最終的に青森市から提案された宮田地区が適地であるとの方針が示されました。

1996年5月、FIFA総会で2002年ワールドカップの韓国との共同開催が決定。同年12月には、日本での開催都市が10都市に絞り込まれましたが、青森県は落選し、スタジアムの整備計画も白紙に戻されることとなりました。

その後

幻となった青森県営サッカースタジアムの建設計画でしたが、2003年にはアジア冬季競技大会の開催に合わせて、青森市宮田地区に新[[青森県総合運動公園]]が完成しました。その後、同総合運動公園内に陸上競技場やJリーグのスタジアム基準を満たすスタジアムが建設されることになり、現在に至ります。

青森県営サッカースタジアムの建設計画は、ワールドカップという大きな目標に向かって県民の期待を集めましたが、様々な問題が重なり、実現には至りませんでした。しかし、その計画は後の新[[青森県総合運動公園]]の建設へと繋がり、青森県のスポーツ振興に貢献することになったと言えるでしょう。

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