青空の翳り

太田裕美のシングル作品『青空の翳り』（あおぞらのかげり）は、1979年4月にCBS・ソニー（現：ソニー・ミュージックレーベルズ）より発売されました。太田裕美のキャリアにおいて、初期から多くの楽曲でその詞世界を築き上げてきた作詞家・松本隆氏との共同作業は、彼女の音楽性の大きな特徴の一つでした。

しかし、この『青空の翳り』は、従来の制作体制とは異なる新たな試みがなされた作品として、特筆すべき位置を占めています。シングルの表題曲であるA面において、これまで太田裕美の代表曲の多くを手掛けてきた松本隆氏以外の作詞家が起用された、初めてのシングル盤となったのです。これは、太田裕美が音楽表現の幅を広げ、新たなクリエイティブな方向性を探求する上での重要な一歩となりました。

A面曲「青空の翳り」の作詞は、様々な歌手に歌詞を提供している来生えつこ氏が担当しました。作曲は濱田金吾氏、編曲は大村雅朗氏が手掛けています。異なる才能を持つクリエイター陣が集まることで、太田裕美の新たな魅力を引き出す楽曲が誕生しました。この楽曲の演奏時間は4分22秒です。

シングルのB面には、「とにかく淋しいのです」が収録されています。B面曲もA面曲と同じく濱田金吾氏が作曲を担当しました。作詞は、フランスの作詞家・作曲家であるMichel Emer（ミシェル・エメ）氏によるものであり、編曲は戸塚修氏が手掛けています。国際的な作詞家を起用したことも、このシングルの多様性を示す要素の一つと言えるでしょう。B面曲「とにかく淋しいのです」の演奏時間は3分54秒となっています。

『青空の翳り』は、太田裕美の音楽制作において、作詞という主要な役割において松本隆氏以外の才能をA面に迎えた最初の作品であり、その後のキャリアにおける多様な音楽性へと繋がる重要な契機となりました。来生えつこ氏、濱田金吾氏、大村雅朗氏、戸塚修氏といった実力あるクリエイターたちとの協業は、太田裕美の芸術性をさらに豊かなものにしました。

本作は、発売された1979年の日本の音楽シーンにおいて、太田裕美の存在感を改めて示す楽曲の一つとなりました。現在でも、このシングルは太田裕美の楽曲を集めたベストアルバムやコンピレーションアルバムに複数収録されており、ファンが楽曲を聴く機会が多く提供されています。代表的な収録アルバムとしては、『GOLDEN J-POP/THE BEST 太田裕美|GOLDEN J-POP_THE BEST 太田裕美』や『GOLDEN☆BEST 太田裕美 コンプリート・シングル・コレクション』などが挙げられます。これらのアルバムを通じて、『青空の翳り』が太田裕美のディスコグラフィーの中で持つ独自の意味合いを感じることができます。

このシングルに関するより詳細な背景や情報は、当時の音楽業界の記録や関連資料などによって補完される可能性があります。

総括すると、『青空の翳り』は、太田裕美のキャリアにおいて、音楽制作チームの多様化という点で重要な節目を刻んだシングルです。新たなクリエイターとの出会いから生まれたこの楽曲は、彼女の音楽性の進化を示す証として、今もなお多くの人々に記憶され、聴き継がれています。

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