青菜 (落語)

青菜（あおな）について

「青菜」とは、日本の古典落語の一つで、江戸時代に人気を博した演目のひとつです。元々は上方落語として知られ、三代目柳家小さんによって江戸落語に移植されました。初出は安永7年の『当世話』の中にある無題の話であり、当初は別題として「弁慶」とも演じられていたことが伝えられています。

あらすじ

物語は、暑い夏の午後に開始されます。裕福な隠居がいる家で、植木屋は仕事の合間に日陰でくつろぎます。隠居はその植木屋を見て、「精が出ますな」と声をかけます。植木屋は感謝しながらも、隠居から「冷えた柳蔭をご馳走しよう」と招かれ、座敷へと案内される流れになりました。

隠居は、柳蔭に加え、酒の肴として鯉の洗いを提供します。植木屋はその美味しさに満足しますが、口にしたワサビの辛さには驚かされます。その様子を見た隠居が「青菜は好きかね」と問うと、植木屋はすぐに「大好物です」と答えました。隠居はその返答を聞き喜び、台所の妻に「青菜を持ってこい」と指示します。

しかし、妻は何も手にしておらず、「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」と不思議な言葉を洩らします。隠居はその言葉に対し、「ああ、義経にしておこう」と軽く流します。植木屋はこのやりとりを面白く思い、隠居の巧妙な言葉遊びに感心します。

その後、植木屋は帰宅し、妻にこの出来事を話します。妻は「それぐらい私にもできる」と自信満々に言い、大工の友人、半公が来たときに試すことにしました。しかし、植木屋の家は隠居のように立派ではなく、スペースも限られています。半公が到着するや否や、植木屋は必死になって妻を押し入れに押し込みます。

半公が現れると、植木屋は隠居のセリフを真似て「精が出ますな」と言いますが、半公は「俺は大工だ」と返します。それでも植木屋は「冷えた柳蔭をご馳走しよう」と続け、半公は喜んで家の中に入りました。しかし、出されたのは生ぬるい濁り酒でした。

半公が文句を言う中、植木屋は次に「鯉の洗い」と称してイワシの塩焼きを出します。半公は不満を漏らし、高評価が得られ尿の評価はうまくいきません。そこで植木屋が「青菜は好きかね」と尋ねると、半公は「俺は青菜が嫌いだ」と思わぬ返事をします。植木屋は泣きつき、「食うと言ってくれ」とお願いして折檻します。

半公がしぶしぶ「食う」と答えると、植木屋は全く嬉しそうになり、妻を呼びます。「奥や！」と叫ぶと、押し入れから妻が出てきます。汗だくで疲れた妻は、「鞍馬から牛若丸が出でまして、名も九郎判官」と続けざまに言ってしまいます。これに驚いた半公は驚愕し、植木屋は言葉を失いながら「弁慶にしておけ」と呟くのです。

演出の工夫とバリエーション

この演目では、季節感を演出するために様々なスタイルが試みられています。例えば、三代目春風亭柳好は冷やそうめんを西洋がらしで食べ、その後に青菜を楽しむという独自のアプローチで演じています。また、林家たい平は自身のYouTubeチャンネルでLo-Fi HipHopと青菜を組み合わせた動画を配信しており、現代にも通じる楽しみ方を提案しています。

このように、青菜は言葉遊びの妙と人間模様を描いた独自の魅力を持ち、多くの落語ファンに愛され続けている作品の一つです。

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