青軍 (ロシア)

青軍（セイグン）とは何か

青軍、またの名をタンボフパルチザン地域暫定民主共和国（英：The Blue Army）は、ロシア内戦の最中にタンボフ州で発生した大型の農民白軍に対する蜂起に関連する軍団です。この蜂起はタンボフ蜂起として知られ、共産主義者に対する農民の反抗の象徴的な事例となっています。

タンボフ蜂起の背景

タンボフ県は、革命前には19地区に分かれ、7,809の村と集落を抱える広大な地域でした。この地域は肥沃なチェルノーゼム土壌に恵まれ、農業生産が盛んな場所でした。ロシア帝国においても裕福な産業を有しており、戦時中も食料供給が安定していました。

しかし、ボリシェヴィキ政権が成立すると、農民の権利は剥奪され、穀物の自由な取引が禁止されるなど、農民の生活は厳しい状況となりました。特に裕福な農民たちの間に強い不満が生まれ、これが農民の武装抵抗へとつながっていきます。

脱走兵と動員

1918年に入り、赤軍は全国的な動員を進めましたが、多くの男性が徴兵に応じることを拒否しました。その結果、脱走兵の増加が見られ、ボリシェヴィキ政府にとっては問題となりました。徴兵に対する村の反発は強く、動員が行われるたびに混乱が生じました。

この時期に、青軍の形成が進み、軍事的抵抗を試みる農民たちが集まるようになりました。脱走兵の中で形成されたこの軍団は、最初は小規模でしたが、次第に規模を拡大させていきました。

アントノフの指導

青軍の指導者として注目されるのが、社会革命党員のアレクサンドル・アントノフです。彼は1918年に兵士たちを集め、共産主義政権に対抗するための武装抵抗を組織しました。彼の部隊は、主に脱走兵から構成され、地元農民の信頼を得ていきました。アントノフの勢力は、食料部隊の侵入を阻止し、地域の農民にとっては希望の象徴的な存在となりました。

タンボフ蜂起とその影響

タンボフ蜂起は、その後のロシアの政治に多大な影響を及ぼしました。特に、クロンシュタットの反乱と同様、この蜂起はボリシェヴィキ政権に対する広範な抗議の一環として位置づけられています。農民の不満が爆発した結果、戦時共産主義から新経済政策（NEP）への転換がもたらされる要因となりました。

このように青軍は、単なる軍事勢力にとどまらず、社会変革の一環として重要な役割を果たしました。彼らの運動は、農民の権利や声を取り戻そうとする闘争の象徴と考えられ、今でもその意義は語り継がれています。

もう一度検索