静かにきたソリチュード

今井美樹 3rdシングル

今井美樹の歌手活動において、1988年 3月5日に発表された3枚目のシングル「静かにきたソリチュード」（しずかにきたそりちゅーど）は、そのキャリア初期における重要な一歩として位置づけられます。フォーライフ・レコード（現在のフォーライフミュージックエンタテイメント）からリリースされたこの作品は、彼女の洗練された歌声と情感豊かな表現が、聴く者に静かな感動をもたらす一曲となっています。シングルの表題曲であるこの楽曲に加え、カップリングには「elfin」が収められており、それぞれ異なる魅力を放つ楽曲で構成されています。

タイトル曲「静かにきたソリチュード」

シングルのタイトルを冠した楽曲「静かにきたソリチュード」は、作詞を戸沢暢美、作曲を中崎英也、そして編曲を井上鑑という実力派の音楽家たちが手掛けました。戸沢暢美の描く繊細な詞世界、中崎英也による心に染み入るメロディライン、そして井上鑑による深みのあるアレンジが融合し、この楽曲独特の雰囲気を醸し出しています。タイトルの通り、「ソリチュード」、すなわち孤独や孤立といった感情を静かに見つめるような内省的なテーマが込められていると考えられ、今井美樹の抑制された中にも情熱を秘めたヴォーカルが、その世界観を一層引き立てます。

この楽曲は、シングルの発売から約3ヶ月半後の1988年6月21日に発売された彼女の3rdオリジナルアルバム『Bewith』に収録され、アルバムの中でも際立った存在感を示しました。さらに、10年以上を経た1998年7月1日には、3枚目のベストアルバム『IMAI MIKI from 1986』にもセレクトされており、長きにわたり多くのファンに愛され続けていることが分かります。初期の今井美樹の音楽性を語る上で欠かせない楽曲の一つと言えるでしょう。

カップリング曲「elfin」

シングルのカップリングとして収録された「elfin」は、表題曲とは趣を異にする楽曲です。この楽曲は、今井美樹自身が作詞を手掛けている点が特筆されます。作曲は山崎透、編曲は佐藤準が担当しました。彼女自身が言葉を紡いだ詞に、山崎透のメロディと佐藤準のアレンジが加わり、また違った今井美樹の音楽性が表現されています。

「elfin」は、このシングルが発売される前年、1987年9月21日にリリースされた彼女の2ndオリジナルアルバム『elfin』に既に収録されていた楽曲です。アルバムタイトルと同名の楽曲が、シングルのカップリングとして改めて世に出された形となります。これは、アルバム収録曲の中から特にファンからの支持が高かったり、楽曲の世界観がシングルにふさわしいと判断されたりした場合に見られるケースであり、「elfin」が当時から一定の評価を得ていたことを示唆しています。

リリース当時の背景と評価

このシングルが発売された1988年は、日本の音楽シーンが多様化し、多くの才能が台頭してきた時期にあたります。様々なジャンルが混在する中で、今井美樹は独自のスタイルを確立しつつありました。「静かにきたソリチュード」は、そうした時代背景の中で発表された作品であり、単なる流行に流されない、アーティストとしての表現を追求する彼女の姿勢を示すものと言えるでしょう。都会的でありながらも叙情的なサウンドは、当時の音楽ファンに新鮮な響きを与えました。このシングルの成功は、続くアルバム『Bewith』のヒットへと繋がり、彼女のキャリアを確固たるものにする一助となりました。

今井美樹の3rdシングル「静かにきたソリチュード」は、表題曲、カップリング曲ともに、彼女の初期の音楽性を理解する上で重要な作品です。作詞家、作曲家、編曲家といった一流の音楽家たちの力と、今井美樹自身の表現力が結実したこのシングルは、発売から長い年月を経た現在も、彼女のディスコグラフィーの中で特別な輝きを放っています。

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