Bewith

今井美樹の代表作『Bewith』：夏の光と影を織りなす珠玉のアルバム

1988年6月21日、今井美樹の3枚目のオリジナルアルバム『Bewith』がフォーライフ・レコードからリリースされました。タイトルには「ずっと一緒にいられたら」という願いが込められており、聴く者の心を温かく包み込む、夏の情景が鮮やかに描かれた作品となっています。

本作は、オリコンアルバムチャートで1位を獲得、さらに第30回日本レコード大賞優秀アルバム賞を受賞するなど、商業的にも大きな成功を収めました。今井美樹自身も制作当時から愛着のある作品として語っており、その魅力は時代を超えて多くのファンを魅了し続けています。

夏の情景と切ない感情の共存

アルバム全体を通して、夏の陽光が降り注ぐような開放的な楽曲と、静けさの中に潜む切ない感情が絶妙なバランスで配置されています。軽快なリズムと爽やかなメロディーが印象的な曲から、しっとりと心に響くバラードまで、多彩な楽曲が収録されており、聴く者の感情を揺さぶります。

特に注目すべきは、アルバムのラストに収録された3rdシングル「静かにきたソリチュード」です。夏をテーマとしたアルバムの最後に、季節感とは異なるこの曲を収録することに、今井美樹自身は最後まで反対したとのこと。しかしながら、様々な事情により収録されることとなり、今井美樹本人は、このアルバムを聴く際には「9月半島」までで聴くのをやめるのだとか。このエピソードからも、彼女にとってこのアルバムがいかに特別な作品であるかが伺えます。

実力派アーティストとのコラボレーション

『Bewith』には、今井美樹の音楽性を支える多くの才能が結集しています。長年彼女に詞を提供し続けている作詞家・岩里祐穂氏、数々のヒット曲を手がけた作曲家・上田知華氏に加え、柿原朱美氏やMAYUMI氏など、豪華なクリエイター陣が参加。中でも1曲目の「黄色いTV」は、岩里氏と上田氏が共同で制作した楽曲で、友人同士である2人が今井美樹のイメージを基に制作し、レコード会社に売り込んだという逸話も残っています。こうした背景からも、本作が多くの関係者の想いが詰まった、特別な作品であることがわかります。

再録音された楽曲の存在

また、『Bewith』に収録されている楽曲の中には、後に再録音されたものも含まれています。「初恋のように」は2009年のアルバム『corridor』で、「とっておきの朝を」は1996年のライブアルバム『Thank you』で、それぞれ新たなアレンジで蘇っています。これらの楽曲を聴き比べることで、今井美樹の音楽性の進化と、時間による表現の変化を感じ取ることができます。

アルバムツアーとチャート成功

『Bewith』の発売を記念して、今井美樹にとって初のアルバムツアーが開催されました。同名のタイトルで、1988年6月10日から7月30日にかけて行われたこのツアーは、アルバムの人気の高さを象徴する出来事となりました。そして、このアルバムはオリコンアルバムチャートで1位を獲得。今井美樹にとって初の快挙であり、彼女のアーティストとしての地位を確固たるものにしました。

『Bewith』は、単なる音楽作品ではなく、多くのアーティスト、そして関係者たちの熱意と才能が凝縮された、まさに「ずっと一緒にいたい」と思わせる珠玉の1枚と言えるでしょう。夏の風景、そして切ない感情、そして様々な想いが複雑に絡み合い、聴く者の心に深く刻まれる、そんなアルバムです。

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