静岡大空襲とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

静岡大空襲：戦火に焼かれた街の記憶

静岡大空襲は、第二次世界大戦末期の1945年 6月19日から20日にかけて、アメリカ軍のB-29爆撃機137機によって旧静岡市（現在の静岡市葵区・駿河区）が受けた大規模な空襲です。マリアナ諸島から飛来した爆撃機は、伊豆半島を経由して静岡市上空に侵入し、3時間以上にわたり焼夷弾を投下しました。この空襲で、1,952名以上が死亡、5,000名以上が負傷、30,000戸以上が焼失するという甚大な被害が発生しました。静岡市は、この空襲を含め、終戦までに合計26回の空襲を受けています。

空襲に至る背景

1942年、軍需工場の建設を目的とした「兵器等製造事業特別助成法」に基づき、静岡市には「住友金属工業プロペラ工場」と「三菱重工業静岡発動機製作所」の二つの軍用機関連工場が建設されました。この工事中に弥生時代の登呂遺跡が発見されましたが、十分な調査が行われないまま工事が再開され、1943年には生産が開始されました。

1945年3月、東京、名古屋、大阪、神戸などの大都市を破壊したアメリカ軍は、その後、地方主要都市に攻撃目標を移しました。アメリカ軍の資料によると、静岡市は1940年の国勢調査で人口が15番目に多かったため、攻撃目標に選定されました。しかし、同年4月7日の空襲により、すでに両軍需工場は機能を停止していました。

空襲の様子

空襲時、西伊豆や沼津、富士などからも、駿河湾越しに静岡市街が真っ赤に燃えているのが見えたと言われています。また、山を挟んだ榛原地域からも、静岡市街上空が赤く染まっているのが目撃されました。空襲後、焼け野原となった静岡市街に米軍機が飛来し、「早く降伏すれば贅沢ができる」というメッセージと、豪華な食事の写真が印刷されたビラが撒かれたという記録も残っています。

静岡県、特に駿河湾沿岸地域は、B-29爆撃機が富士山を目標に飛来するため、警戒警報や空襲警報が頻繁に鳴り響いていました。また、空襲だけでなく、駿河湾に侵入した米軍艦載機による機銃掃射や波状攻撃も行われ、工場や港、農作業中の人々が犠牲になりました。しかし、軍の命令により、被害情報は秘密とされていました。

その後の慰霊と平和への願い

静岡赤十字病院周辺も火の海と化しましたが、病院前の1本のクスノキは奇跡的に生き残り、今も空襲の生き証人として青葉を茂らせています。

毎年6月19日前後の週末には、賤機山山頂で慰霊祭が行われ、静岡市民だけでなく、墜落したB-29搭乗員の霊も慰められています。この慰霊祭は、日米関係者が出席する合同慰霊祭として行われています。また、静岡市で毎年開催される安倍川花火大会は、戦没者の慰霊と鎮魂を祈って始まりました。

静岡大空襲を題材とした作品

- 雑誌『富士山』：さくらももこのムック本。彼女の母親が幼少期に静岡大空襲の被害に遭った経験が記されています。
- オペラ『ある水筒の物語』：高木達が台本、伊藤康英が作曲。静岡大空襲で亡くなった市民と米兵を慰霊する物語です。

外部リンク

静岡平和資料センター

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