静岡県立沼津工業高等学校

学校概要

静岡県立沼津工業高等学校は、静岡県沼津市に所在する公立の工業系高等学校です。地元では「沼工（ぬまこう）」の愛称で親しまれています。地域産業の発展を支える技術者育成を目的として設立され、長い歴史の中で多くの卒業生を社会に送り出してきました。

沿革

本校の歴史は、戦前の1939年3月23日に設立が認可されたことに始まります。この時、校名は「静岡県立沼津工業学校」と定められ、応用化学科と採鉱冶金科の二つの学科が設けられました。初代校長には村上作兵衛氏が就任し、翌1940年には校舎本館および付属施設が完成しました。

戦時中の1943年には、電気科と機械科が新たに設置されるとともに、応用化学科は工業化学科へと名称が変更されました。戦後の学制改革を経て、1948年には現在の「静岡県立沼津工業高等学校」に名称が改められ、同時に定時制課程も開設され、工業化学科、電気科、機械科の三科が置かれました。1951年には建築及び土木科の設置が認められ、採鉱冶金科は廃止され、採鉱科と金属工業科が新たに設けられるなど、時代の要請に応じて学科の拡充が進められました。1959年には体育館兼講堂が落成し、教育環境の整備が進みました。

その後も学科の改編は続き、1963年には採鉱科が工業地質科に改められました。1976年には体育大会中に突風による応援用看板倒壊事故が発生し、負傷者が出る痛ましい出来事もありました。1980年にプールが完成し、1986年には電子科が設置されました。平成に入ってからも、1990年に金属工業科が材料技術科に、1992年に工業化学科がシステム化学にそれぞれ科名が変更されました。1993年には新入生から制服がブレザータイプに一新され、1999年には機械科のクラスが1学級削減されました。2006年からは、学科ごとの募集から全科一括募集へと変更され、入学後に学科を選択する形となりました。

近年の大きな動きとしては、2007年に同窓会館である不撓館が開設されたこと、そして2019年に学科の再編が行われたことが挙げられます。土木科と物質工学科が統合され、新たに都市環境工学科が誕生しました。また、電子科は電子ロボット科へと改められました。この電子ロボット科の課題研究では、2019年度に特許庁主催のパテントコンテストで優秀賞を受賞し、特許出願支援の対象となるなど、先進的な取り組みも行われています。さらに、2022年度からは2学期制が廃止され、3学期制に移行するなど、教育システムの見直しも進められています。

設置学科

全日制課程には、以下の五つの学科が設置されています。

- 機械科（略称：K）
- 電気科（略称：E）
- 電子ロボット科（略称：L）
- 建築科（略称：A）
- 都市環境工学科 (略称：U)

また、定時制課程には工業技術科が置かれています。

部活動・クラブ活動

静岡県立沼津工業高等学校では、学業だけでなく部活動も盛んに行われています。

特に近年、ロボット制御部は「Robo Cup Junior CoSpace Rescue」競技において目覚ましい成果を上げています。2011年から2015年にかけて5年連続で世界大会に出場し、特に2015年には本戦で優勝という快挙を成し遂げました。

一方、長い歴史を持つラグビー部は、静岡県内で初めて全国大会（花園）への出場を果たした伝統校です。1962年、1965年、1970年、1974年と全国の舞台に立ちましたが、近年は全国大会への出場機会は得られていません。

同窓会活動

卒業生による同窓会活動も活発に行われており、毎年数百名規模の総会が1月下旬から2月初旬にかけて開催されています。

著名な出身者

各界で活躍する多くの人材を輩出しており、以下のような著名な出身者がいます。

- 須藤秀忠（現静岡県富士宮市長）
- 橘家半蔵（落語家）
- 高木敏昭（元プロ野球パシフィック・リーグ審判）
- 芦川昌彦（元サッカー選手）
- 遠藤正俊（元ラグビー選手）
- 大塚圭宏（2018年アジア競技大会ボート競技銅メダリスト）

このように、静岡県立沼津工業高等学校は、創立以来技術教育の発展に貢献しつつ、特色ある教育活動や部活動を通じて多くの有為な人材を育成し続けています。

今後も時代の変化に対応しながら、地域の工業教育を牽引していくことが期待されています。

もう一度検索